おちゃらけミクロ経済学: 微分
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2012年11月19日月曜日

限界収穫逓減の法則その6


【祝】ブログ連載50回記念【祝】




数えてみたら、このブログを開設して、おかげさまで記事連載が、50回に到達しました。
といっても、管理人は、大変ものぐさな性格なので、
特別に「記念行事」や「特別ネタ」を、用意しているわけではありません。





祝賀会

祝賀会 / june29




ただ、この「限界収穫逓減の法則」シリーズでは、
経済学について「陰鬱な科学」とか、飢餓や疫病(と戦争)によるとか、
暗い記事をUPして、さんざん煽ってしまったので、
最後は、これらを打ち消して、明るく締めようかと考えています(笑)




「他の条件を一定」としたとき限界収穫逓減が成り立つ




これまでのブログで、18世紀・イギリスの経済学者である、ロバート・マルサスは、
「人口論」で、限界収穫逓減の法則により、食糧の生産は、頭打ちになることを書いてきました。



しかも、その結論は、人口の増加ペースが、食糧の増産ペースを上回るため、
やがて、人口の増加は、飢餓と疫病(と戦争)になって抑制され、
常に貧困状態にあることが当然、という衝撃的なものでした。



ですが、人口研究の権威でもあった、マルサスの予測通りにはならず、
21世紀の人口は、18世紀の人口よりも、はるかに増加しています。


実は、マルサスの悲惨な予測には、一つの前提条件がありました。
それは、「他の生産要素を一定とすれば」、食糧の増産は、頭打ちになるということです。




生産要素の変化による「上方シフト」




マルサスが指摘した農業の「生産要素」を具体的に挙げると、以下になります。



  • 土地→耕地が広がり
  • 資本→土地や機械を購入するための元手
  • 技術革新→農業機械の開発や品種の改良
  • 教育・訓練→人間による機械の操作や収穫方法の確立


もしこれらの生産要素の変化をグラフで表すと、
総生産曲線限界生産物曲線は、「上方シフト」が発生します。




総生産曲線の上方シフト



総生産曲線の上方シフト



限界生産物曲線の上方シフト



限界生産物曲線の上方シフト




2つのグラフは、確かに、限界収穫逓減の法則に従っています。
しかし、総生産曲線のグラフを見ると、全ての労働投入量において、生産量は増加しています。
また、限界生産物曲線は、全ての労働投入量において、1人当たりの生産量が、増加しています。




再考~マルサスの「人口論」



前回のブログ(リンク)でも、読者の皆様にマルサスが「人口論」で述べた主張が、
「ハズレ」なのか、「あたり」なのかを、お尋ねしました。
答えは、「半分ハズレ」で「半分あたり」です。



「ハズレ」については、直感的にお分かりになると思います。
当ブログを書いている私も、見ていただいている読者の皆さまも、
今もって生きているということが、その証拠です(笑)



「あたり」というのは、マルサスが、農業生産について、
「他の生産要素を一定」とした場合、2つの曲線の「上方シフト」は発生せず、
やはり、人口増加に比して、食糧増産が鈍化するということです。




経済学の役割



このように限界収穫逓減の法則は、他の条件を一定としたとき、
追加的な労働投入による生産量の増加率はやがて鈍化する
、ということを表します。




もっとも、他の経済学の命題がそうであるように、
それは、あくまで「他の条件を一定」としたときであって、
「条件」が変われば、限界収穫逓減の法則による曲線の傾きは、変化します。




先に、経済学について「陰鬱な科学」であると申しましたが、
決してそれにとどまるものではありません。



自動車の大量生産方式、大規模な流通網の確立、インターネットの発明などは、
全て技術革新により、それぞれの生産量を増やしてきました。
その結果、人間の生きる可能性を、広げてきたものです(もちろん弊害も出しましたが)。




味の素物流

味の素物流 / Lucy Takakura




経済学という科学は、曲線の傾きを通して、「人間の生きる可能性」を
考察するための科学であるとも言えるのです。
(限界収穫逓減の法則シリーズ終わり)




参考文献:


ロバート・マルサス 人口論 (中公文庫)人口論 (中公文庫)



人口論 (中公文庫)


フレデリック・P・ブルックス,Jr 人月の神話人月の神話



人月の神話




2012年11月18日日曜日

限界収穫逓減の法則その5

「人口論」と「北斗の拳」




前回のブログでは、飢餓と疫病(と戦争)で、人口の増加が、頭打ちになるという、
アニメ・「北斗の拳」さながらの、すさまじい結論で、記事を締めくくりました。



この結論は、19世紀のイギリスの経済学者、ロバート・マルサスと言う人物が、
あらわした「人口論」という著書にもとづいています。



「北斗の拳」では、確かに人類は、飢餓と疫病(と戦争)に苦しんでいましたが、
マルサスの結論は、本当に正しかったのでしょうか?





戦争

Outdoor Exhibition / d'n'c



人口論「半分ハズレ」のワケ



マルサスの「予言」に対する答えは、「半分ハズレ」で、「半分あたり」と言うのが、
現代のミクロ経済学上の評価です。




「半分ハズレ」というのは、直感的に分かると思います。
というのは、マルサスよりもずっと後に生まれた管理人も、
当ブログを読んでくださっている読者の方も、今もって生き残っているからです。
19世紀の世界と、21世紀の世界と比べて、人口は飛躍的に増加しています



では、なぜマルサスは、結論を「ハズして」しまったのでしょうか?
ちなみに、マルサスは「人口論」という名前の本を出版するぐらいで、
今もって人口研究に関する権威です。




>東京大学図書館

東京大学図書館 / 柏翰 / ポーハン / POHAN




人口論「半分あたり」のワケ



それでは、「半分あたり」について、現代の経済学者に、「ご説明」を願いましょう。



"おそらく18世紀のフランス農民たちがピラミッド時代のエジプト農民よりも良い暮らしをしていたということではない。だが18世紀以降の技術進歩が、あまりにも急速だったために、収穫逓減が引き起こす問題を打ち消してしまったのだ"

ポール・クルーグマン「クルーグマンミクロ経済学」東洋経済新報社(P221)



クルーグマンの説明を補足すると、以下のようになります。



18世紀になって人間が、紀元前のピラミッド時代に生きた人間よりも、ぜいたくなものを
たくさん食べはじめて、人口増加の危機が叫ばれたわけではありません。



紀元前から18世紀までの「ゆくっりとした」農業技術の進歩では、
いずれ、食糧の増産が、人口の増加に追いつかなくなるということが、マルサスの予想でした。




ただ、18世紀以降の農業の技術進歩が、
マルサスの人口増加の予想をはるかに超えるものであったため、
限界収穫逓減の法則による食糧不足の問題を、解消してしまったのです。






農業

CIMG1953 / max.takaki




次回では、技術進歩が打ち消した限界収穫逓減の法則について考えてみましょう。
経済学は、単なる「陰鬱な科学」ではありません!!!
(つづく)










2012年11月17日土曜日

限界収穫逓減の法則その4


百貨店外商と限界収穫逓減の法則



前回のブログで、個人的体験にもとづき、
百貨店の外商営業と、限界収穫逓減の法則の関係を、書かせていただきました。



未開拓の顧客層に営業をかけた当初は、生産量(売上)の伸び率は、すさまじいものです。
しかし「掘り起こし」が行きわたると、生産量(売上)の伸び率は、鈍化します。



厳しい限界収穫逓減の「現実」




限界収穫逓減の法則その1では、かつてIBM社でソフトウェアの開発を担当していた、
フレデリック・ブルックス,Jrが、登場しました。




そのブルックス,Jrが示した限界収穫逓減の法則による、プログラムコード生成の現実は、
さらに厳しいものでした。その考え方をグラフで表すと、以下の通りになります。








ブルックス,Jrが示す限界収穫逓減の法則




ブルックス,Jrが示す限界生産物曲線










なんと、プログラマー(労働投入量)の数が、
ある一定数を超えると、出来上がるプログラムコード数が、減少していくのです。
1人当たりのプログラムコードの生成数も、プラスからマイナスに転じます



ブルックス,Jrの著者、「人月の神話」の、復刻版書評を書いた人が、
上の2つのグラフについて、的確な表現をしています。



"プログラマーたちの強度作業にはどうしても必要になる費用がある。チームのやり取りのメンバーは会議に出席したり、プロジェクトの計画案を練ったり、電子メールのやりとりをしたり、プログラムの接続方法について相談したり、パフォーマンスのチェックに労力を使ったりといった具合に『時間を浪費』することになる(中略)マイクロソフト社では、チームのなかに少なくとも1人は、他のメンバーが着るTシャツのデザインに専従する人員がいる、ということにもなりかねないのだ"

ポール・クルーグマン「クルーグマン・ミクロ経済学」東洋経済新報社(P223)



つまり、ソフトウェア開発チームの人数が、多くなりすぎると、
メンバー間での、間接的なコミュニケーションに時間が費やされ、
本来行うべき、プログラミング業務が出来なくなるというこです。



経済学は「陰鬱な科学」か?




限界生産物が逓減していくということは、ブルックス,Jrの洞察によって、
はじめて発見されたことではありません。


以前登場した、18世紀・イギリスの経済学者、ロバート・マルサス
「人口論」でも、限界収穫逓減の法則に基づいた、食糧危機について、やはり論じていました。



「人口論」の結論を述べると、限りある土地の下では、
農業生産量は、「倍数」でしか増えないの対し、人口は、「累乗」で増加してしまうということです。



やがて、飢餓と疫病(と付随的に発生する戦争)による、人口抑制が行われたときに、
人類は生き残り、常に貧困状態にあるのが当たり前、というすさまじい結論です。





台風一過

台風一過 / amika_san




時おり、「経済学は陰鬱な科学である」と揶揄されることがあります。
それは、上記のような悲惨な結果について、危惧された言葉である、と考えられています。
しかしながら、このようなマルサスの結論は、正しかったのでしょうか?
(つづく)











2012年11月16日金曜日

限界収穫逓減の法則その3


限界生産物を「計算式」で表してみよう!



前回のブログで、数値例を用いて、限界生産物について考えてみました。




プログラムコードの総生成量と限界生成量



プログラムコードの総生成量と限界生成量




限界生産物(ここでいうプログラムコードの限界生成量)とは、
「もう1単位労働力を追加したときの生産量の増加分」を表します。
この「増加分」を、計算式で表すと以下の通りです。



労働の限界生産物=生産量の変化/労働投入量の変化=限界生産物
(限界生産物MPL=⊿Q/⊿L)



なぜ限界生産物を求める計算式があるのか?




(数値例)では、プログラマー(労働力)が一人ずつ投入された場合の、
データを表しています。確かに5人、6人、7人と一単位ずつ労働力が増えていくときは、
生産量の増分が、分かり易くで助かります。



現実には、40人から45人、そして60人など、
1単位ごとの、増分データが入らないときもあります。
そのようなとき、上記の計算式を使うと、生産物の限界生産物が求められます。



数値例から分かるように限界収穫逓減の法則とは、
限界生産物が、次第に減少することを、指すことになります。




「限界収穫逓減の法則」具体例




限界収穫逓減の法則について、個人的な体験にもとづいて、具体例を挙げてみましょう。



管理人は、以前ある百貨店の外商部に勤めていました。
最初に担当させていただいたのは、
それまでほとんど、対面営業を行ってこなかった顧客層でした。





百貨店の外商部

Isetan Tachikawa / Dick Thomas Johnson




この顧客層に、管理人が、営業を訪問や対面営業を行うことによって、
担当後、3カ月ぐらいは、この層における売上伸び率について、
前年比300%とか、250%とか、不景気なご時世に、ありえないくらいの
「数字」をたたき出していました。



もっとも、限界収穫逓減の法則に基づいて考えると、当然の結果です。
顧客層に労働(営業)をほとんど投入していなかったため、
当初の生産量(売上)の「伸び率」はすさまじいものになります。



ですが、3か月もたって労働(営業)が一巡すると、
限界収穫逓減の法則がある以上、「伸び率」は、
陰りを見せ始めます。外商を担当して1年近くになると、
売上伸び率は、いつも100%前後で、四苦八苦していました。



そこらへんから、既存顧客だけでは、営業ができないことに気づき始め、
新規顧客開拓に回ったのは、言うまでもありません(笑)
(つづく)















2012年11月11日日曜日

限界収穫逓減の法則 その2


「人口論」と「人月の神話」からみる総生産曲線





前回のブログで、時代も立場も異なる、2つの著書に見る、
共通性を通じて、問題提起を行いました。


  • ロバート・マルサス「人口論」
  • フレデリック・ブルックス,Jr「人月の神話」


マルサスは、19世紀のイギリスの経済学者で、
ブルックス,Jrは、20世紀のアメリカのソフトウェア技術者です。




そこで、当ブログで、いつも行っている、「グラフ式思考法」で考えてみましょう。
すると、以下のような、総生産曲線が出来上がります。



マルサスとブルックスJrの曲線





マルサスとブルックスJrの曲線







このグラフをよく観察すると、以下のような特徴が、挙げられます。





  • 労働投入量が少ないときは、傾きが大きい
  • 労働投入量が多いときは、傾きが小さい




つまり、労働投入量が変化するに従って、生産量の増加が鈍っているように見えます。



マルサスとブルックスの曲線の特徴(曲線の接線の特徴)




マルサスとブルックスの曲線の特徴(曲線の接線の特徴)







「微分」を思い出してみよう!





労働投入量が、追加的に変化しているときに、
生産量の増加率が、どれぐらい変化しているかを、分析するためには、
微分の概念が、非常に有効です。






トラクター、労働量の投入

Tractor / ototadana



ここでいう微分とは、dx/dyや⊿yなど記号を使った、計算式を展開することではありません。
単に「変化率を測る」ぐらいの、意味に置き換えてくだされば、結構です。
(微分に関する詳しいブログは、コチラ



その「変化率」をグラフにして表すと、次のような右下がりのグラフになります。
これを、限界生産物曲線と言います。



限界生産物曲線




限界生産物曲線





「数字」にして書き出してみよう!





先にあげた総生産曲線と、限界生産物曲線の、2種類のグラフが、
今回のテーマである、「限界収穫逓減の法則」のミソになります。




ブルックス,Jrのように、ソフトウェア開発における、プログラムコードを使った、
数値の例を用いて、限界生産曲線とは、どんな現象なのかを、確認してみましょう。



プログラムコードの総生成量と限界生成量




プログラムコードの総生成量と限界生成量




労働投入量、つまり、プログラマーを増やすに従って、
プログラムコードの総量は、確かに増加していますが、その増加量は、次第に鈍っています





プログラムコード、コンピュータ

4bit computer / torisan3500




この現象を、ミクロ経済学的に説明をすると、
「もう1単位の労働を追加したときの限界生産物は減少している」、という説明になります。




ここでいう限界とは、「追加的な」という意味に置き換えてください。
二重的な修飾で、日本語としてちょっとおかしい気もしますが、
経済学では、こういう言い方をするようです。
(つづく)
















2012年11月6日火曜日

限界費用逓増の法則と微分 おまけ

世にも恐ろしい(?)微分のお話





「限界費用逓増の法則と微分」シリーズでは、
ミクロ経済学における、限界を話題にしてきました。
今回は、スピンアウトして、その微分について、お話をしたいと思います。


一部世間で、微分は恐れられているようです。
ですが、この記事をご覧になった皆さんは、この記事を読み終わるまで、
決して他のページに、飛ばないでください(笑)





ハロウィン

07 / misawakatsutoshi





微分を英訳さらに和訳





微分という日本語を英語に翻訳し、もう一度日本語に直訳してみましょう。
すると、〈微分→differential→「差」・「違い」〉ということになります。
ここから転じて、「微分する」とは、「差をとって変化を見る」ということになります。




数学よりに説明すると、「微分する」とは、「差分をとって変化率を測る」ことです。
微分にかんする計算式を見ていると、よく「⊿y」、「dx/dy」、などの記号が、見られます。




個人的には、ついこの間まで、どちらも「微分する」と言う意味で、同じ意味だと考えてました。
しかし、実は両者の意味は、異なります(数学関係者の皆さま、すみません)。



【意味】


  • 「⊿y」→「差分をとる」
  • 「dx/dy」→「(微小な)変化率を測る」



【由来】


  • 「⊿y」→ギリシャ文字のデルタ。英語で言う「d(ディー)」
  • 「dx/dy」→differentialの頭文字。




微分の数式では、ギリシャ文字と英語のアルファベットを使い分けられています。
「差分」と「変化率」では、意味が異なるため、違う文字が当てられています。





微分と限界概念を学習する意味





ご多分にもれず(?)、管理人も高校時代、数学で「微分」を学習する意味が、よく分かりませんでした。
当時は、「⊿y」、「dx/dy」という文字が出てきた時点で、頭の中が、「アウト」でした。
もしくは、自分にとっては、守備範囲外だということで、自主的に「ファウルボール」にしてました(笑)





審判アウト?ファウル

うーん、あれはアウト?ファウル? / Ryosuke Yagi





しかし、ミクロ経済学で、限界費用をという用語に出会い、、





  • 限界費用→「1単位あたりの追加的費用」
  • 限界→「追加的な変化率」
  • 微分→「(微小な)変化率」
  • 微分=限界




ということを理解してからは、高校時代に学習した、
微分のありがたさ(?)に気づきました。そのときは、すでに30を越してましたが(笑)。



限界費用の増加(変化率の増加)


限界費用の増加(変化率の増加)







  • 「もうすぐ英語と数学の試験だ。でもあと1時間しか勉強時間がない。このときどちらの科目に、1時間を費やした方がいい点を取れるか?」
  • 「今、手元に500円玉を持っている。吉牛に行くべきか?マクド(マック)に行くべきか?どちらの方が満足度が大きくなるか?」




どちらも、ある一定の費用(この場合時間とお金)を、追加的に支払った場合、
どれぐらいの効用(良い点数、満腹感)が、得られるかについて考えています。



ちょっとした日常生活のの選択を考えるだけでも、すでにあなたは微分しています
ミクロ経済学って、懐が深い学問だと思います。
(限界費用逓増の法則と微分おわり)




参考文献:
畑村洋太郎「直感でわかる微分・積分」岩波書店


畑村洋太郎「直感でわかる微分・積分」岩波書店


高橋 一雄 「数IA・IIB・IIICがこの1冊でいっきにわかる もう一度 高校数学」







2012年11月2日金曜日

限界費用逓増の法則と微分 その5


総費用曲線と限界費用曲線の比較




前回からのブログを整理してみましょう。
限界費用逓増の法則と微分 その1で登場させたグラフを、
「より丁寧に」観察してみましょう。



両者では、線形もかなり異なりますが、実は、座標の縦軸名も異なります。




総費用の増加














【縦軸名】

  • その1の縦軸名→総費用
  • その2の縦軸名→限界費用(追加的に1個をつくるための費用)



【特徴】

  • その1の縦軸名→「費用そのもの」が上昇。
  • その2の縦軸名→「費用の変化率」が上昇。



その1のグラフでは、生産単位が大きくなるにつれ、
全体の費用(総費用)が大きくなることを表します。



それに対し、その2のグラフでは、費用の変化率が上昇し、
生産単位が大きくなればなるほど、費用の増加率が高くなる、という状態を表しています。



総費用と限界費用を並べる理由




製パン会社もそうですが、企業活動においては、必ず、(収益-費用)について考えます。
赤字にせよ、黒字にせよ、一定期間において、利潤を計算する必要があるからです。



その一定期間において、生産や販売を開始をした当初は、
収益は増加しても、「費用の増分」は、低くなる傾向があります。
(ただし、費用について投資費用や機会費用は除く)



しかし、生産単位が次第に大きくなるにつれ、収益が増加しても、
むしろ費用の増分の方が、高くなります。



同じ生産量でも、費用が増加するということは、裏を返すと、
同じ費用を投入しても、生産量は減少していくことを表します。
これを限界収穫逓減の法則と言います



もちろん、生産単位が大きくなると、収益が増加しないということではありません
要は「のびしろが縮んでいく、という発想です。



限界収穫逓減の法則とその具体例




限界収穫逓減の法則について、具体的な例をあげれば、キリがないほど、挙げられます。
世の中に存在している一般の財・サービスの生産について、概ね「限界収穫逓減の法則」が、
適用できます。具体例は、以下の通りです


  • 食パン
  • 液晶テレビ
  • 自動車
  • コンピュータソフトウェア




生産単位を増やそうとすればするほど、既存の資源においては、収穫をあげることは、
難しくなっていきます。




限界収穫逓増の法則と教育サービス




逆に、限界収穫逓増の法則が適用できる財・サービスは、あるのでしょうか?
他の参考文献を確認していないので、全くの個人的見解でになりますが、
管理人は、教育サービスなどが、この法則を適用できると考えます。





パソコン分解に見入る子どもたち

パソコン分解に見入る子どもたち / chiaki0808




例えば、「自動車教習」を例にとってみましょう。
最初は、交通法規や標識に関する認識、自動車運転の技能習得まで、
覚えることは山ほどあります。しかも最初のうちは、公道にも出れませんし、
仮免許をとっても、助手席には、同乗者を必ずつける必要があります。
時間もお金も結構なコストが、かかります。





北豊島園自動車教習所 / ko-



しかし、自動車免許を取得すれば、一人で公道を運転することができます。
自動車運転による「移動の効用」を得ることができます。
しかも、運転経験を積めば積むほど、安いコストで運転技能が上がり、
「自動車移動による効用」が増加します。



よく、資源のない国は政策として教育にコストをかける、というお話を聞きますが、
単なる一般論としてではなく、ミクロ経済学的にも、考慮に値することだと思います。
(つづく)






2012年10月31日水曜日

限界費用逓増の法則と微分 その4


本当は言いたくなかった「限界」の話



当ブログは、ここ3回くらい、2つの異なる線形をしたグラフに基づいて、お話を展開しています。
限界費用逓増の法則と微分 その1 限界費用逓増の法則と微分 その2 
限界費用逓増の法則と微分 その3


パン屋さんの費用曲線その1





パン屋さんの費用曲線その1



パン屋さんの費用曲線その2




パン屋さんの費用曲線その2



ですが、上の2つのグラフは、実はわざと、不親切な書き方をしています(笑)





「限界」の本当の意味とは?




縦軸の項目名にご注目ください。
それぞれ、単に「費用」と書き、非常にあいまいな言い方をしています。




本当は、その1の縦軸には、総費用
その2には、1個あたりの追加的費用という言葉が入ります。
ミクロ経済学では、この1個あたりの追加的費用のことを、限界費用といいます。



縦軸名が入ったパン屋さんの費用曲線その1






縦軸名が入ったパン屋さんの費用曲線その1




縦軸名が入ったパン屋さんの費用曲線その2



縦軸名が入ったパン屋さんの費用曲線その2






経済学関連の本を読んでいると、限界という言葉が、しょっちゅう出てきます。
限界という言葉は、本文のタイトルにも使ってます。他には、こんなものがあります。


  • 限界収穫逓減
  • 限界収穫逓増
  • 限界効用逓減
  • 限界効用逓増



これらは、漢字ばっかりですが、ホトケさんの戒名ではありません(笑)
限界という部分は、追加的な変化のという言葉に置き換えて、差し支えありません。




一つ目の限界収穫逓減とは、追加的に変化すると生産量は次第に少なくなる、
という意味です。(くわしくは、また機会があれば説明します)



経済学に限らず専門用語は、ただやみくもに、暗記することに意味はありません。
大正時代から昭和30年代に、東京大学で教鞭をとられた、ある高名な民法学者の先生も、
こうおっしゃてます。



"法律を学ぶには、暗記しないで、理解しなければならない"
我妻榮「民法案内1~私法の道しるべ」勁草書房P1



ですが、限界は、結構便利な概念なんで、この際ルールは無視して、
そのまま覚えてしまいましょう。我妻先生、ごめんなさいm(。・ε・。)mスイマソ-ン



やっと出てきた微分と「限界」の関係




ちなみに、高等学校などで習う、微分は、追加的な変化率を表現するための一つの方法と
考えられます。管理人も、高校を卒業して、十何年もしてから気づきました(泣)




微分を習う高校生

[高校生ー広島駅] MOV02302 / xsix



微分と同様、限界の概念は、慣れていないうちは、理解するのが難しいと思います。
(管理人の説明が下手なだけかもしれませんが)
ですので別の機会(リンクおまけ)を設けて、別の観点から、限界概念を考えてみましょう。
(つづく)






2012年10月29日月曜日

限界費用逓増の法則と微分 その3

パン屋さんで限界概念を使う





パン生産の費用のグラフとして、異なる線形のグラフが存在するのは、どうしてでしょうか?
前々回前回のブログより)







ますだ製パン / Sig.





その答えについて、限界という概念を使って、考えてきました。
パン屋さんの経営者の立場に立って、限界の概念を適用すると、以下のような表現になります。




パン屋さんの費用曲線と3本の接線




パン屋さんの費用曲線と3本の接線





パン屋さんで限界概念の説明




この図の特徴は、ザクッと分けて、3つあります。




  1. 生産個数が、少ないときは、設備や人員が遊んでいる。増産がラク
  2. 生産個数が、中ぐらいのときは、設備や人員は、ほぼ100%の稼働。増産は、コストが発生
  3. 生産個数が、大きいときは、設備や人員が、100%超の稼動。増産は、莫大なコストが発生




パン屋さんの限界概念をもっと詳しく




パンを作るために、工場を建てて、人を雇っても、生産量が少なければ、
いわゆる「遊び」の部分が多いため、生産量を増やすとしても、大きなコストを必要としません。




生産個数が増え、工場が、それなりに「回っている」状態になっているときに、
生産を増やそうとすると、それなりのコストがかかります。
労働者に支払う時間外手当や、材料費水道・光熱費などの上昇が、考えられます




そして、工場のラインも、労働者も、100%フル稼働をしている中で、
さらに生産量を増やそうとすれば、既存の設備や人員では、もう生産が、追いつきません。
新たな用地の取得工場の建設労働者の採用など、巨大なコストが必要になります。





コストのかかる器材
器材 / darkensiva





もう一度限界概念に戻りましょう




ここで異なる線形のグラフについて、冒頭の問題提起を考えてみましょう。
曲線のグラフは、パンを作るときの総費用を表してまいます。
直線のグラフは、パンを1単位追加的に作るときの、その追加費用を表しています。



パン屋さんの費用曲線その1





パン屋さんの費用曲線その2




限界の考え方について、理解を深めるため、次回は、微分について考えます。
といっても、dx/dyとか、⊿yの記号を使った、計算式は出しませんので、ご安心を!
(つづく)



参考文献:グレゴリー・マンキュー「マンキュー経済学第2版Ⅰ」(P142)東洋経済新報社



2012年10月25日木曜日

限界費用逓増の法則と微分 その2

費用曲線のおさらい





さて、前回のブログで2つのグラフを示しました。
それぞれ、わが町の製パン業界での、費用を示すグラフでした。



パン屋さんの費用曲線その1




パン屋さんの費用曲線その1

(特徴)

  • 生産個数が少ないときは、傾きが小さい
  • 生産個数が多いときは、傾きが大きい



パン屋さんの費用曲線その2



パン屋さんの費用曲線その2



(特徴)

  • 生産個数に係らず、傾きは常に一定




総費用について




先に、ミクロ経済学の専門用語を使って、結論を述べると、
パン屋さんの費用曲線その1は、生産個数の総費用を表しています。
パン屋さんの費用曲線その2は、生産個数の限界費用を表しています。



総費用は、その名の通り、パンを生産するのにかかった、全ての費用を表します。
主に次のものが、挙げられます。



  • 土地の取得費用
  • 工場の建設代金
  • 製造ライン設置費用
  • 材料費(小麦粉・砂糖・塩など)
  • 水道・光熱費
  • 人件費
  • その他販売経費



アンパンマンの銅像

アンパンマンの銅像 / Takanori Ishikawa




限界費用について




限界費用とは、もう1単位のパンの生産量を追加するときにかかる費用の増加分、
を表します。おちゃらけミクロ経済学名物の、作図で考えてみましょう。
総費用の3ヶ所に、それぞれ直線をあてがい、傾きを観察します。



パン屋さんの費用曲線と3本の接線




パン屋さんの費用曲線と3本の接線



  1. 生産個数が少ないときは、傾きが小さい
  2. 生産個数が中ぐらいのときは、傾きが中ぐらい
  3. 生産個数が大きいときは、傾きは大きい


何だか、見たまんまのことを、説明していますね。
ミクロ経済学的な言い方に換えると、表現はこうなります。


  1. 生産個数が少ないときは、もう1単位のパンを作るための追加的な費用は、少ない。
  2. 生産個数が中ぐらいのときは、もう1単位のパンを作るための追加的な費用は、中ぐらい
  3. 生産個数が大きいときは、もう1単位のパンを作るための追加的な費用は、大きい。



ちょっと分かりにくいですね。
今度は、パン屋さんの立場に立って、より商売的な言い方をすると、表現はこうなります。
直感的に考えるならば、商売的な言い方が、もっともピンとくるかもしれません。


  1. 生産個数が少ないとき設備や人員が遊んでいる。増産が、ラク
  2. 生産個数が中ぐらいのとき設備や人員は、ほぼ100%の稼働。増産はコストが発生
  3. 生産個数が大きいとき設備や人員が、100%超の稼動。増産は莫大なコストが発生



パン屋さんの費用曲線を商売的に説明する


パン屋さんの費用曲線を商売的に説明する




限界費用で使われている、限界の考え方について、
なれないうちは、いまいち分かりにくいかもしれません。
次回のブログで、噛み砕いて説明してみましょう。
(つづく)