おちゃらけミクロ経済学: 経済学と政治哲学 その2

2013年9月20日金曜日

経済学と政治哲学 その2

功利主義と自由主義と自由至上主義



経済活動で必要な資源はどのように分配するか?そのためには
一定の基準が必要です。その基準となるのが、経済学では公平性と言います。



といっても公平性について明確な定義がありません。、
もっぱらどういう風にパイを分けるかは、政治哲学の問題となります。
マンキュー経済学〈1〉ミクロ編にもとづいて、主に3つの考え方を紹介します。



公平性とか政治哲学とか書くと、何だかとっても遠い世界のことを
語っているように感じるかもしれませんが、
サラリーマンの方などは、毎月もらう給料の手取り収入と密接に関係します。




アップルパイなう! / chidorian





功利主義とは?



政府は社会におけるすべての人の総効用を最大化する政策を選択すべき。



【考え方】
貧しい人が政府から受け取る1万円分の効用は、
金持ちの人が税金として取られる1万円分の効用より大きい。
従って所得の再分配をすると社会全体の総効用は増加する(限界効用逓減の法則)


【政策の具体例】
所得税の累進課税制度、厚生年金の標準報酬月額制度


【デメリット】
所得分布が低い人ほど、または所得分布が高い人ほど
一生懸命働くインセンティブがなくなる恐れがある。




自由主義(リベラリズム)とは?





政府は、生まれる前の原初状態の人に評価されるように
公正であるとみなされる政策を選択すべき。


【考え方】
政府は社会において最も悪い状況にある人の福祉を
最大化するべきであるという考え方(マクシミン原則)


【政策の具体例】
社会保険制度全般(国民年金保険・厚生年金保険・健康保険等)


【デメリット】
原初状態の人はどの所得階層に生まれつくかが分からないので、
所得再分配の必要のない階層に所得再分配を行ってしまう




自由至上主義(リバタリアニズム)





政府の仕事は、治安活や自由な契約活動の保障であり、
所得再分配に介入すべきでない。


【考え方】
自発的な取引によって生じた利益は全て当事者の間で分け合うべき。
「過程」が公正であれば、結果で生じた不平等や格差は考慮しない(完全競争主義)。


【政策の具体例】
特になし(政府は何もしないことが最良)


【デメリット】
何が最低限のセーフティネットになるか個別に議論しなければならない。
(ベーシックインカム・教育のバウチャー制度など)



グレゴリー・N・マンキュー マンキュー経済学〈1〉ミクロ編 東洋経済新報社





















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