「正式でない」共謀も存在する
産業全体で利潤が減少するとしても、寡占企業は独占企業よりも
生産量を増加させるインセンティブを持ちます。
生産量を増加させると、財の価格は下がります。
その負の価格効果は、独占企業1社がすべての財について、
引き受けけなければないのに対して、2社以上の寡占企業は、
自分のところの財の価格だけを下げればいい、と考えるからです。
寡占企業1社分の財の価格を引き下げることは、独占企業が
価格を引き下げることよりも影響が小さくみえるます。
そのため寡占企業は、自社の利益だけを追求する非協力的行動に
出ることが考えられます。
Cherry Cola / pmsyyz
「正式な」共謀→独占禁止法違反
しかし、改めてコーラの需要表を見ると、寡占企業(複占企業)同士で
生産量を調整した方が、産業全体の利益は大きくなります。
コーラの需要表
従って、寡占企業は共謀することについてインセンティブを持つことになります。
しかし、「正式に」共謀を持つことは、独占禁止法のカルテルに抵触します。
関係者は、公正取引委員会から呼び出され、疑惑の目でにらまれることになるでしょう。
共謀か?非協力的行動か?
それでは、「正式な共謀」ができない寡占企業にとって、カルテルは不可能で、
非協力的行動によって、生産競争を繰り返すしかないのでしょうか?
もちろん、独占禁止法を無視して、こっそりとカルテルを推し進める場合もありますが、
「正式な」取決めがなくても、共謀を実施することはできます。
それは、市場価格にこだわらず、生産物を販売する場合です。
寡占企業が直面する「経済学的難問」
(寡占市場~共謀と非協力的行動」シリーズ終わり)
0 件のコメント:
コメントを投稿