独占企業の数量効果と価格効果について
前回、独占市場における数量効果と価格効果について、文字で説明しました。
これらは、表や作図で説明した方が、より理解が深まります。
下の表はある国の水道公社の、総収入、平均収入、限界収入を表します。
ここでいう、水道公社とは、独占企業のことです。
独占企業の総収入、平均収入、限界収入
水道記念館-浄水場見学-10 / iyoupapa
独占企業の需要曲線
まず、この表にもとづいて、需要曲線を書くと右下がりの曲線になります。
独占市場には、1社しか企業が存在しないため、生産量を増やせば、価格は下がります。
このとき数量効果と価格効果が、表れます。
独占企業の需要曲線
- 数量効果→生産量が増加したことによる、総収入の増加
- 価格効果→価格が減少したことによる、総収入の減少
独占企業の限界収入
次に表から、限界収入を取り出して作図してみましょう。
すると限界収入の曲線は、常に需要曲線の下側に位置することが分かります。
これは、やはり、独占市場において、企業が1社しか存在しないためです。
独占企業の限界収入
独占企業の需要曲線と限界収入
例えば、企業が水の生産を3ガロンから4ガロンに増加すると、1ガロン当たり7ドルで
販売できるにもかかわらず、総収入は4ドルしか増加しません。
独占企業は右下がりの需要曲線に直面しているために、
限界収入は価格よりも低くなります。販売量を増やすためには、
独占企業は、すべての顧客に対して財の価格を、引き下げねばならないからです。
したがって、4ガロン目の水を販売するためには、はじめの3ガロンについても
1ドルずつ少ない収入しか得られなくなります。この3ドルの損失は、
4ガロンめの価格(7ドル)と4ガロンめの限界収入(4ドル)の差となります。
(つづく)
【参考文献】
グレゴリー・N・マンキュー マンキュー経済学I ミクロ編(第3版) 東洋経済新報社
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