おちゃらけミクロ経済学: 寡占市場~囚人のジレンマ その2

2013年11月15日金曜日

寡占市場~囚人のジレンマ その2

実は自分は相手に「支配」されている



前回、利得表を用いて囚人のジレンマについて考えました。



囚人のジレンマ









容疑者A:

「Bが自白するか黙秘をするかはわからん。仮にヤツが自白して
オレ様が黙秘を貫いてしまったら10年の懲役をくらっちまう。
そのことを考えれば、オレ様は自白をしてしまった方が、最悪でも5年の懲役でもすむ」


容疑者B:

「Aが自白するか黙秘をするかはわからんないわ。仮に彼が自白して
アタシが黙秘を貫いてしまったら10年の懲役を言い渡されるわよ。
そのことを考えれば、アタシが自白をしてしまった方が、最悪でも5年の懲役でもすむ」





網走刑務所 / achappe_tmic





相手の行動を考えたのち自らの行動を決める





このように容疑者AとBにとって「自白」か「黙秘」かのゲームの結論は、
両者ともに「自白」ということになりますが、このことを経済学では、支配戦略と言います。



一般的な言い方をすると、支配戦略とは、他のプレーヤーが
どんな行動を選択しようと、ある行動が最適な行動であることを言います。



容疑者達にとって、相手が「自白」をしようが、「黙秘」をしようが、
「自白」をすることが、懲役10年という最悪の事態を避けられるからです。



ゲーム理論の均衡→ナッシュ均衡




A,B両容疑者が「自白」をしたとき、ゲームは均衡に達したことになります。
この例のように、相互依存の状況にある経済主体がそれぞれ、相手の選んだ戦略を
所与として、自己の最適な状況を選んでいることを、ナッシュ均衡と言います。



ちなみに「ナッシュ」とは数学者でノーベル経済学賞受賞者でもある、
ジョン・ナッシュにちなんでいます。下記の参考文献は、彼の伝記を
取り扱った内容で、映画化もされています。



(「寡占市場~囚人のジレンマ」シリーズ終わり)



【参考文献】


ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡











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