実は自分は相手に「支配」されている
前回、利得表を用いて囚人のジレンマについて考えました。
囚人のジレンマ
容疑者A:
「Bが自白するか黙秘をするかはわからん。仮にヤツが自白して
オレ様が黙秘を貫いてしまったら10年の懲役をくらっちまう。
そのことを考えれば、オレ様は自白をしてしまった方が、最悪でも5年の懲役でもすむ」
容疑者B:
「Aが自白するか黙秘をするかはわからんないわ。仮に彼が自白して
アタシが黙秘を貫いてしまったら10年の懲役を言い渡されるわよ。
そのことを考えれば、アタシが自白をしてしまった方が、最悪でも5年の懲役でもすむ」
網走刑務所 / achappe_tmic
相手の行動を考えたのち自らの行動を決める
このように容疑者AとBにとって「自白」か「黙秘」かのゲームの結論は、
両者ともに「自白」ということになりますが、このことを経済学では、支配戦略と言います。
一般的な言い方をすると、支配戦略とは、他のプレーヤーが
どんな行動を選択しようと、ある行動が最適な行動であることを言います。
容疑者達にとって、相手が「自白」をしようが、「黙秘」をしようが、
「自白」をすることが、懲役10年という最悪の事態を避けられるからです。
ゲーム理論の均衡→ナッシュ均衡
A,B両容疑者が「自白」をしたとき、ゲームは均衡に達したことになります。
この例のように、相互依存の状況にある経済主体がそれぞれ、相手の選んだ戦略を
所与として、自己の最適な状況を選んでいることを、ナッシュ均衡と言います。
ちなみに「ナッシュ」とは数学者でノーベル経済学賞受賞者でもある、
ジョン・ナッシュにちなんでいます。下記の参考文献は、彼の伝記を
取り扱った内容で、映画化もされています。
(「寡占市場~囚人のジレンマ」シリーズ終わり)
【参考文献】
ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡
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