しっぺ返し戦略とは?
たまに「私企業、民間企業は目先の利潤にとらわれている」という言い方を
聞くことがあります。この言い方の意味するところは、千差万別で
それぞれの方にとって解釈するところが違うでしょう。
しかし、上手く設計された寡占市場で、繰り返しのゲームをしている
寡占企業に限って言えば、「目先の利潤にとらわれている」なんてことはありません。
彼らは短期的な利潤よりも長期的な利潤を重視します。
そのことをミクロ経済学では戦略的行動と言います。
Bible / Sean MacEntee
ゲームを繰り返すと戦略的行動に
前々回のシリーズで登場したコーラの需要表を思い出してみましょう。
コーラの需要表
これは1回こっきりのゲームを行ったときの分析をするための利得表でした。
で、今回の記事のポイントは戦略的行動なので、具体的にはゲームを2回行うものと考えます。
(実際は3回以上なんだろうけど、最も単純な戦略的行動を説明するためということで…)
そして、2つの企業の立場で考えるとややこしくなるので、
この記事を読んでくださっている方は、今自分がC社の立場であるとしましょう。
「目には目を歯には歯を」
C社の社長が考える戦略的行動とは、次の2つが考えられます。
- 1年目は40,000ℓを生産し、2年目も40,000ℓを生産する
- 1年目は30,000ℓを生産し、2年目は相手の出方次第
このC社の戦略的行動を囚人のジレンマ風に言いかえると、
次のようになりますかね。
- 1年目は「裏切り」、2年目も「裏切り」
- 1年目は「協力的」、2年目は相手の出方次第
2.の「2年目は相手の出方次第」というところが、戦略的行動のポイントですね。
- もし相手のP社が1年目に「協力的」であれば、C社の2年目は「協力的」に。
- もし相手のP社が1年目に「裏切り」であれば、C社の2年目は「裏切り」に。
なんだか旧約聖書の「目には目を歯には歯を」という言い伝えのようですが、
このような戦略的行動のことを特に、しっぺ返し戦略といいます。
(つづく)
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