広告を出す企業と広告を出さない企業の違い
さて、前回の記事では、以下のコーラのCM(2本)と牛乳のCM(1本)では、
ミクロ経済学的に何が違うのか?という問いかけを行ってみました。
- 【コカ・コーラ ゼロ】 EXILE TVCM「Endless Crave」篇 60秒 Coca-Cola Zero 2013 TVCF
- いいなCM pepsi NEX カバーシリーズ
- 3篇 牛乳に相談だ CM 2005-2007年 川島海荷 「キス」「チョーク」「ライオン」
先に結論を言ってしまうと、こんなところです。
コーラのCMはそれぞれ民間企業が自社の費用として独自に作成している。
一方牛乳のCMは、社団法人中央酪農会議という酪農家の共同組織が作成して、
個々の酪農家が作成しているわけではない。つまり広告を出す主体が異なる。
Milk-Tasting Time / Joe Shlabotnik
広告への態度は市場構造の違いから生まれる
それでは、なぜこんな差が生じるのでしょうか?
それはコーラと牛乳の市場構造の違いから生じるためです。
コーラの市場構造(独占的競争の長期均衡)
牛乳の市場構造(完全競争の長期均衡)
2つの図で見るべきポイントは、限界収入と限界費用が交わる点です。
独占的競争市場であろうと完全競争市場であろうと、
生産量(販売量)は、限界収入と限界費用が交わる点で決まり、
価格はその生産量(販売量)によって決まります。
牛乳の広告は共同組織だけがまとめて出す
ただし独占的競争市場では、販売価格(需要曲線)は、
すでに限界収入を上回っているます。
提示した価格で追加的に販売できると、限界費用を上回る収入の増加が得られます。
このため、独占的競争市場にある企業は、その収入の増加を見越して積極的に
広告を出すことになります。
一方で完全競争市場では、販売価格は限界収入と等しく、限界費用と同じであるため
生産者が追加的に多く販売しても収入の増加は見込めません。
このため、完全競争市場にある企業は、広告を出そうとはしません。
それでも牛乳のCMは出ているじゃないかと、思われる方もいるでしょう。
しかし、これは特定の酪農家の牛乳を売るためではありません。
牛乳全体の消費底上げを狙った産業全体のCMであって、
一般社団法人中央酪農会議という共同組織としてCMを出しています。
(「企業が広告を出す理由 独占的競争と完全競争の比較 」シリーズ終わり)
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