おちゃらけミクロ経済学: 税金
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2012年9月19日水曜日

Tax Hack(3)

教育委員がたばこ消費税のUPを申し出




わが町の教育委員として、
生徒の喫煙問題を担当することになった
あなたは、役場の財政課の課長に、たばこ消費税の税率UPを申し出ました。



しかし、たばこ消費税のを税率を上げると、
タバコ会社から突き上げをくらって、議会で同意されないという理由で、難色を示されます。
(前回のブログ)




税率のグラフ



たばこ消費税の狙いとは?




そこであなたは、財政課の課長にグラフを差し出しながら、具体案を示します。



あなた:「たばこの依存性の高さを逆に利用するんだ。
     未成年者にとって、たばこの需要曲線は、非弾力的で急な傾きをしている

課長:「ふんふん。なるほど」

あなた:「一方にたばこ会社の供給曲線は、たばこを海外で販売したり、
     成人に対しても販売できるので、相対的に弾力的だ。
     供給の傾きは非常に緩やか
なものとなる」



(たばこ市場の需要と供給の法則)



たばこ市場の需要と供給の法則



課長:「ひょっとして、委員は、税率の上昇による価格の負担は、
     たばこ会社ではなく、需要者である生徒に負担をさせるおつもりですか?」


あなた:「そうだ。各校での個別の対策は限界に来ている。口で言うよりも経済学で
            いうところの死荷重を、喫煙生徒に、実際に感じてもらうことにする

     その他、町の税収となった分は、喫煙による健康被害対策のために
     使うことにすれば、一石二鳥だ」



(たばこ市場の死荷重)




ペナルティーとして税金を活用



このあと財政課長が、たばこ税の税率を上げるための、
議案を草案したかどうかは、定かではありません。




ただ、あなたが考えた方法は、弾力性死荷重のマイナス面を、逆手に取る方法です。
死荷重を、負担に感じるからこそ、喫煙者が、自発的に喫煙量を自発的に減らすという発想です。



本来、需要してほしくない未成年の喫煙者に、
「ぜーきん」の負担を押し付け、タバコを買うことそのものを、
あきらめさせようとしているのです注)



なおかつ、 「ぜーきん」によるの増収分は、
喫煙者の健康被害対策に使うということですから、一石二鳥の方法。
まさに税金の有効活用、Tax Hack!です。



これであなたも教育委員長どころか、
次の町長選挙に出馬できるかもしれません(笑)


※たばこの値上げ(課税)は、成年者よりも未成年者に、重い負担がかかります。


"たばこの価格が10%上昇すると、需要量は4%減少するという結果が報告されている。
なかでも、10代の若者がとくに価格の変化に鋭敏に反応することも発見された。
10代の若者については、価格が10%上昇すると、需要量は12%も減少する"

グレゴリー・マンキュー「ミクロ経済学第2版」東洋経済新報社P103







2012年9月18日火曜日

Tax Hack(2)

当ブログおなじみの思考実験



わが町の教育委員に任命されたあなたは、
就任早々、「生徒の喫煙問題」を担当することになりました。
(前回のブログ)


その対策を思いついたあなたは、早速、オフィスを飛び出しました。
各学校に行って、さらに指導を強化するように、口頭で伝えるのでしょうか?



それともタバコ製造会社に行って、タバコの自動販売機やたばこケースに、
「未成年者にとって喫煙は有害である」
という旨の、広告でも打ってもらうよう、お願いしに行くのでしょうか?



いいえ。そのどちらでもありません。向かった先は、なんと役場の財政課
あなたは、財政課の課長に切り出しました。


役場の財政課



教育委員と財政課長の会話



あなた:「たばこ消費税の税率を上げることはできないだろうか?」



課長:「税率を上げることは、議会の同意が必要です。
    その議会でたばこ消費税の税率を上げるとなると、
    たばこ会社からの突き上げをくらって、
    議会の同意を得るのも無理
じゃないんですか?」



あなた:「いや、良い手があるんだ。課長、これを見てくれ」


といって、あなたはお手製のグラフとを取り出しました。



グラフ
GIZMODE PV TOP10 11/2/8 グラフ / gabuken



(つづく)
















2012年9月17日月曜日

Tax Hack(1)

ミクロ経済学の知見を実際に使ってみましょう





さて、今回のお題は、Tax Hack(税金を使ってやる!)です。
「使ってやる!」と言っても、別に「橋をかける」とか、市役所の物品を消費するとか、
「現ブツ」・「現ナマ」そのものを扱うわけではありません。



「使ってやる!」とは、ミクロ経済学における、
弾力性死荷重の考え方を使って、税金を Hack することです!



今まで、課税をすると 、死荷重 が発生する、などといってて、
さんざん、ネガティブキャンペーンをはってきました(笑)
しかし、今回のシリーズでは、ちょっとは、税金に肩入れしてみようかと思います。



あまのじゃくな性格で恐れ入ります。。。
m(。・ε・。)mスイマソ-ン


Hackとcrackingの違いについて



あと「Hack」という言葉はあまりありがたくない意味で
使われることも多いようですが、本来は「上手いことやる」という意味です。



日本語で「ハックする」とは、「相手を欺く」、「撹乱させる」
という意味合いもあるようですが、英語では「cracking」という言葉が、これらに相当します。



ミクロ経済学で思考実験



あなたは、わが町の教育委員に任命されました。
しかし、就任早々、管轄の学校から、芳しからぬ報告が上がってきました。







「学校内での生徒の喫煙が増加している!えらいこっっちゃ!」
そして報告書の下には次のように書き加えれられています。



「各校で生活指導を担当している先生は、
校内の見回りを増やして、指導を強化しているが、成果がいまいち上がらない…」



どうやら、各校の個別の対策では、限界があるようです。
そこであなたは、ある「経済学のテキスト」を手にとってパラパラとめくってみました。




たばこ

Business as usual / Comrade Foot




すると、ある箇所でピタリと手が止まり、ニヤリ笑いました。
どうやら良いアイデアが思いついたようです!
(つづく)





2012年9月8日土曜日

社会保険料(おまけ)

社会保険シリーズの応用例



今回は、「社会保険料」シリーズのおまけです。
ミクロ経済学で見る、社会保険料の分析を、政策立案に実際に応用してみましょう。



「社会保険料」シリーズのおまけ




みなさん、この図について覚えておいででしょうか?


労働市場の死荷重



労働市場の死荷重




社会保険料について、労働者(供給者側)の負担の方が大きい
というずですよね。(社会保険料は誰の負担か(4))



政策秘書が考える社会保険料負担の見直し




あなたは、ある町で、町長の政策秘書として活躍しいます。
ある日、あなたのボスである、町長に呼ばれました。



「今日の議会で社会保険料の負担について見直しが決まった。
何かいい案はないだろうか?」



たまたま当ブログの「社会保険シリーズ」を読んでいたあなたは、
このようなグラフを想像するのではないでしょうか?



労働市場の死荷重(逆バージョン)





労働市場の死荷重(逆バージョン)




今回の記事で最初に登場した図の、
労働曲線と供給曲線の弾力性を、それぞれ逆にした図です



相対的に見ると、


  • 需要(雇用主)に負担が軽い
  • 供給(労働者)の負担が重い



という従前の状況が是正されるのではないでしょうか?
それでは具体的にはどんな案になるでしょうか?




具体的な政策案その1



  1. 大規模なインフラを作る
  2. 大規模なインフラを使う企業をたくさん誘致する


という案が、考えられます。



具体例として考えるなら、
航空運輸産業(空港と航空運送サービス)や
いま流行のクラウド業界(汎用のソフトウェアと付随するプログラム)
などが挙げられるでしょう。




航空運輸産業




これらは、相対的に人手を要する仕事なので、
労働に対する需要が高くなり、曲線の傾きが大きくなることが期待できます。



具体的な政策案その2




それでは、供給曲線の傾きを変えることはできるでしょうか?
もし管理人が、政策秘書であれば、「できる」と考えております。



少し「ひねくれた制度」ですが、賃金が下がると労働時間を減らしやすい
という動機付けをする制度を作れば、いいのではないかと考えております。



が、今回の「思考実験」は、みなさんがわが町の政策秘書です。
管理人がでしゃばることはできません。



いい案がございましたら、私にも教えていただきたいと思います。



それでは!
ばいばい(⌒ー⌒)ノ~~~





2012年9月7日金曜日

社会保険料とクルーグマン

「名目的な負担」と「実質的負担」




今回のブログで社会保険料の「真の負担」を明らかにしてみましょう。







前回のブログではお話をこのように結んでいます。



"なんだか下の方の三角形が大きいですよね。
この場合、社会保険料は供給者側、つまり従業員にとって
負担が重くなる
のです"



雇用量の調整はしやすいが、労働時間の調整はしにくい




労働市場の死荷重












ポール・クルーグマンのテキストから、
この文章について、裏付けてみましょう。



"それでは、誰がFICAを支払うのか。この点を研究した経済学者はほとんどみな、FICAを支払うのは雇用者ではなく、労働者だということに同意している。こうした結論は、家計の労働供給の価格弾力性と企業の労働需要の価格弾力性の比較から出されたものだ。(中略)平均賃金が1%上昇すると労働時間への需要は少なくとも3%は減少する。しかし労働供給の価格弾力性はとても低いと信じられている"

ポール・クルーグマン「ミクロ経済学」東洋経済新報社 P154より




つまり、
雇用主は賃金(価格)が上がると、それ以上に雇用を減らすが、
労働者は、賃金が上がっても、労働量(労働時間)を、簡単に増やすことはできない




ということです。




このため、クルーグマンやマンキューのテキストでは、
FICAについて、社会保険料の負担は、「労働者の負担の方が大きい」と結論付けています。




日本の社会保険料は、
法律により労使折半で負担することが、慣例化されています。



たしかに保険料率は2で割れば、「名目的な」保険料の負担割合は、労使が同じ値になります。
しかし、「実質的」には、折半負担しているわけではないんですね~」。
このお話、管理人も経済学を勉強しててとてもビックリしたケーススタディです。




社会保険料からみる経済学まとめ




「社会保険料の誰の負担か」は、4回にわたってのシリーズでしたが、
結論するとこういうことになります。





  1. 社会保険料負担は、法律的など「名目的」に平等であるが、「実質的」には平等にできない。
  2. 社会保険料の「実質的な」負担は、需要曲線と供給曲線の傾きで決まる。



給与明細書で見落とされがちな社会保険料について、ネタを引っ張れそうなのもここまでです。
また面白そうなネタを考えるとしますか。。。。(⌒∇⌒)ノ""マタネー!!



FICAとは…


連邦保険寄与法(Federal Insurance Contribution Act)。
社会保障と医療システムのために給与から一定割合で天引きされる金額のこと。
別名「給与税」とも言われる。日本の「厚生年金保険法」と「健康保険法」に相当する制度です。



【追記】
「社会保険料の負担感は労使で異なる」ということについて、
下に上げる参考文献でも名言されて、いますので、引用文を紹介しておきます(2012年12月29日)

"経済学では、理論的にも、実証的にも、会社側の負担はは「実際には」そのほとんどが「労働者の負担となっていることが知られています。現実問題として、形式上、労使折半だからと言って、会社が半分負担してくれていると思うほど皆さんは甘い世界に生きているのでしょうか。この厳しい競争社会において、会社の経営者は、会社分の半分の負担をどうやって捻出するのでしょう。(中略)実際には、労働者の賃金を会社分だけ減らして、それをもとに会社が負担をしているのです。会社負担分だからといって、将来、会社が年金を受け取るわけではありませんから、実際に全額の年金を受け取る労働者の負担を転嫁するのは当然のことです"


(「年金問題は解決できる P84 第3章祖父と孫の年金受給格差は6300万円」 下線部は管理人)



【関連エントリ】



年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その1
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その2
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その3
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その4




【参考文献】


鈴木 亘 年金問題は解決できる! ―積立方式移行による抜本改革年金問題は解決できる! ―積立方式移行による抜本改革 日本経済新聞出版社


年金問題は解決できる! ―積立方式移行による抜本改革
 

2012年9月6日木曜日

社会保険料と労使折半

労使折半とは



さて、サラリーマンの方には、
おなじみの給与明細書にのっている、社会保険料のお話です。
半分ずつのものが、実は半分ずつじゃないお話です。



社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)の負担は労使折半である」
つまり、雇用主も従業員も、社会保険料の負担は半分ずつということです。





社会保険料率の変動



厚生年金保険料は、2012年月8末現在16.412%です。
それを割ると労使それぞれ8.206%ずつの負担となります。
ただし、2017年度までは保険料が少しずつ上昇します。



名目的な負担と実質的な負担



社会保険料と、その負担割合を見ると、
「社会保険の負担はやっぱり労使折半じゃないか!考えるまでもない!」
ということです。



確かにその通りでしょう。ただしそれは名目的に平等なだけです。
従って、ここから下では、実質的なお話をいたします。




まず前回のブログで紹介したこの図を思い出しましょう。



社会保険のくさびがかかった労働市場 





社会保険のくさびがかかった労働市場





そしてもうひとつ、思い出してください。
「需要の弾力性が、供給の弾力性より高いと、税金の負担にとってより高いものとなる」 
→→→参考記事




労働市場の死荷重






労働市場の死荷重




なんだか下の方の三角形、
つまり、労働を供給する側の死荷重が大きいですよね。




それではやっぱり・・・
(ノ゚ρ゚)ノ ォォォ・・ォ・・ォ・・・・
(つづく)




















2012年9月5日水曜日

社会保険料と弾力性

経済学は思考実験です



前回思考実験を、もう一度おさらいしてみましょう。グラフも用意しました。





思考実験



思考実験の材料)


  1. 労働は財である
  2. 賃金は価格である。
  3. 社会保険料は社会保険税とする




社会保険のくさびがかかった労働市場




社会保険のくさびがかかった労働市場




労働市場における需給曲線は極端に異なる




実際の労働市場では、以下のような曲線関係になると考えられます。
需要曲線の傾きと供給曲線の傾きが、大きく異なります。



労働市場 弾力的需要と非弾力的供給




労働市場 弾力的需要と非弾力的供給



これを経済学の専門用語を使って、説明すると、





  1. 需要曲線は弾力的
  2. 供給曲線は非弾力的




という表現になります(これらの用語についての詳しい説明はこちら)



「なんで需要曲線と供給曲線が、いきなりこんなに傾くねん?」
という声が聞こえてきそうなので、ご説明いたしまししょう。




これらのグラフは、一般的な労働市場を表します。
一般的な労働市場では、市場は次の通りに構成されます。




  1. 労働需要→雇用主(会社・団体など)
  2. 労働供給→従業員(労働者・被雇用者)



【曲線の特徴】



  1. 労働需要曲線→価格変動に反応しやすい。→雇用主は雇用量を調整しやすい。
  2. 労働供給曲線→価格変動しても反応が鈍い。→従業員は労働量を調整しにくい。




一般的な労働市場で労働の価格(賃金)が下がると?




賃金(価格)が下がった場合の、例を考えてみましょう。




  1. 労働需要側(雇用主)→賃金が下がったので、たくさんの人を雇い入れよう!
  2. 労働供給側(従業員)→賃金が下がっても簡単には、労働時間を少なくできない!




雇用主側は、企業や団体全体の利潤を考えなければなりません。
そのため、労働の価格が、安い時には、たくさん購入することを考えます。



また、従業員側は、転職など退職などにコストがかかるため、
簡単には労働移動をしません。このため労働の需要が減少すると、
賃金の下方修正を、受け入れざるをえなくなります。



このように、労働需要側労働供給側の思惑が違うため、
両者の曲線の傾きは、極端に異なります。
そして、この思惑の違いが、社会保険料の負担感に、違いを生じさせます。
(つづく)



2012年9月4日火曜日

社会保険料と給与明細書

月に一度は給与明細書




皆さんは、給与明細書というものを、見たことがありますか?
会社や団体にお勤めの方なら、月に一度は渡される紙ですね。





給与明細書、お金






といっても、内容について、最近では紙ではなく、
Web上で個別に閲覧させてくれるところもあるみたいですが。




給与明細書の使われ方




さて、この給与明細書ですが、管理人の周りでは、よくこんな話を聞きます。




「手取り額のところしか見ない」
「興味があるのは超過勤務で何ぼ上乗せされているか見たいだけ」
なんとも、もったいない・・・




社会保険料厚生年金保険料・健康保険料)の項目が、見落とされているじゃないですか!
もっとも、社会保険料って、給与の総額から天引きされていますしね。
少なくとも2017年度までは、厚生年金保険料は、毎年UPしますので、
見たくない気持ちはよく分かりますが・・・




それだけに、管理人からすれば、社会保険料はおいしい!
みんなが見落としがちなネタですから!⌒ >+○ヽ(・o・ヽ) キャッチ!!





トニー谷のマネ、そろばん勘定





ミクロ経済学と社会保険料




今回は、社会保険料について、「思考実験」してみましょう!




しばらく、税金のテーマばっかり書いてきたので、
このさい同時に天引きされている所得税や、住民税などは無視しちゃいましょう!
(わがままですいません)





(実験の材料)



  1. 労働は財である
  2. 賃金は価格である。
  3. 社会保険料は社会保険税とする



この材料に基づくと、こんな図が、出来上がります↓↓↓



社会保険のくさびがかかった労働市場




社会保険のくさびがかかった労働市場



これどっかで見たことなかったっけ?
時間に余裕のある方は、当ブログの中を探してみてください(笑)
(つづく)




2012年9月3日月曜日

税金と死荷重

ぜいたく税のまとめ



今回のブログと合わせて、計4回シリーズで、
それぞれ、ヨット税ぜいたく税)の負担問題の材料を揃えてきました。



税金とクルーグマン
税金と副作用
税金と価格弾力性



ヨット市場の需要供給の法則




ヨット市場の需要供給の法則





上の図では、傾きが異なる需要曲線と、供給曲線が、描かれています。
ヨット市場の需要供給の法則に、政府の税収死荷重(くさび)を当てはめてみましょう。




ヨット市場の死荷重




ヨット市場の死荷重





需要者側の死荷重は大、供給者側の死荷重は小




需要者側(ヨットを買うお客さん)と供給者側(ヨット製造業者)では、
政府の税収死荷重の大きさが、ずいぶん違います。




需要者側は、ヨット税がかけられたとしても
他の海外旅行や大きな住居など他にいろいろと消費できるもがあります。
そうなるとヨットを消費することなく、ヨット税の課税対象そのものがなくなります。



"ところがその税収は期待していたよりはるかに少ないわずか700万ドルだった。税収が少なかった理由は、アメリカの10万ドル以上のヨットの売上が71%も減少したからだった"


ポール・クルーグマン「ミクロ経済学」東洋経済新報社(P184)より引用




こうなると供給者側は大変です。そのときの様子がこのように、述べられています。



"ヨットへの課税は主としてヨットを製造する企業と労働者に負担をしいる。(中略)奢侈(しゃし)税は金持ちより中流階級により大きな負担がかかる"



グレゴリー・マンキュー「マンキュー経済学第2版Ⅰ」(P181)より引用



税金と死荷重の応用




この一連の「税金は誰の負担か」シリーズで重要なポイントは、次の2点です。



  • 税収以外も税の負担に含まれる(ヨット事業者の売上減やそれに伴う失業)
  • 非弾力的な(代替がきかない財への負担)は大きい


社会全体にとって、負担が少ない税というのは、
需要者にとっても、供給者にとっても、弾力的な財への課税が望ましいということでしょうか?






何かと敬遠されがちな税金ですが、それを逆手にとって利用することもできます。
具体的には、未成年者への喫煙を減らすための課税とか。







喫煙




何でそんなことが言えるかって?それはまた別の機会でお話しましょう。
see you agein.....(/_・、)/~~









2012年9月2日日曜日

税金と価格弾力性

ぜいたく品と税金について





私たちが生きるためには、最低限必要な消費というものがあります。
例えば、主食物(米、パン)、電気、水道、衣料、住居など。




ペットボトルの水





何がどれぐらい必要かは、その時々の時代によって変わります。
ですが、現代の日本であれば、このへんは妥当なところでしょう。




これらに物品税(消費税)がかかって値上げとなると、最低生活費が底上げされます。
中には、暮らし向きが苦しくなる方もいらっしゃるでしょう。



だったら、
ぜいたく品から税金とればええやん!!!」という声も聞こえてきそうです。
ですが、今回はぜいたく品の課税について、よ~~~く考えなければならない、というテーマです。




曲線の傾きについて





前回のブログでは、こんな図について説明しました。




ヨット市場の需要と供給の法則




ヨット市場の需要と供給の法則





今回は、それぞれの曲線の傾きに注目してください。
少し専門的な言葉を使って、特徴を説明すると、以下の通りです。



  • 需要曲線は弾力的
  • 供給曲線は非弾力的




弾力的な需要曲線





1は、少しの価格変化で、需要量が大きく変動することを指します。


「弾力的」な需要曲線の図





「弾力的」な需要曲線の図






例をあげれば、ドラックストアにおける特売のトイレットペーパーや、
高級フレンチのディナーなどでしょうか。




「弾力的」な需要曲線の図



これらの財は、値段に反応しやすく、他の競合する財に、買い替えをしやすい、
という特徴があります。線の傾きが相対的に「水平」に近くなります。



特売のトイレットペーパーは、スーパーマーケットのトイレットペーパーで
代用できるかもしれません。食事でリッチな気分を味わいたければ、
高級フレンチから、高級すし店へと食べ歩くこともできるでしょう。




非弾力的な供給曲線





2は、価格が変化しても供給量があまり変動しません。




非弾力的な供給曲線の図



非弾力的な供給曲線の図



例をあげれば、ガソリンなどでしょうか。



タンクローリーのガソリン




短期的には、他の財への取り換えがききにくいため、
価格が変動しても、供給量はあまり変動しません。線の傾きが、相対的に「垂直」に近くなります。



自動車通勤のガソリンや、トラックの軽油は、すぐに代替エネルギーを
見つけることは難しいでしょう。ガソリン車と電気自動車、圧搾空気車の関係が、好例です。




傾きに特徴の持った2つの線を合わせると冒頭の図になります。
そしてこれでやっとヨット税について考える材料が揃いました。
安易にぜいたく税をかけるととんでもないしっぺ返しを食らいます。




次のブログで税の負担問題を明らかにしていきたいと思います。
(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪







2012年9月1日土曜日

税金の副作用

ぜいたく品と税金の相性




  • 自家用飛行機
  • 毛皮
  • 宝石
  • 高級自動車




単語を並べただけで「バブリー」なイメージがします。
今でいう「セレブ」というところでしょうか?



セレブのイメージ六本木ヒルズ



でも黒木瞳さんとかのイメージを思い出しても、「バブリー」という単語と結びつかへんな。。。
あまりぐちぐち書くと自分の年と発想の貧困さが、バレてしまいそうなので、このへんでやめときます


ぜいたく品には奢侈税を



1990年にアメリカ議会ではこれら「ぜいたく品」にたいして、
奢侈(しゃし)税という税目を採択しました。
この税目は富裕層に対する税収UPを目的です。
(目的は他にもあるような気もしますが、管理人は寡聞にして多くを知りませんので脱線は控えます)



しかしこの税目は1993年にあっさり撤廃されます。
富裕層からの税収が思うように上がらないばかりか、予想しない「副作用」をもたらしたからです。



そのときの様子をマンキューさんの
経済学テキストの記述から引用してみましょう。



"ヨットに対する需要は極めて弾力的である。百万長者はヨットを買わなくても全然構わない。そのお金でもっと大きい家を買ったり、ヨーロッパでバカンスを楽しんだり、あるいは相続人に巨額の遺産を残すこともできるのである。対照的に、ヨットの供給は、少なくとも短期においては比較的非弾力的である。ヨットの工場は代替的な用途に簡単に転換できず、ヨットを製造する労働者は市場状態の変化に反応して進んで転職しようとはしない"



グレゴリー・マンキュー 「マンキューミクロ経済学第2版」 東洋経済新報社(P181)より



つまり、こういうことです。
「お金持ちのお客さんは、ヨット以外のお買い物をしてしまい、
ヨット工場やその従業員が、ヨットの受注減で困ってしまった」



ヨットの受注減で困る



傾きが違う需要供給曲線




どうしてこんなことが起こってしまったのでしょうか?
引用部分を需要と供給の図にもとづいて、作図してみましょう。



ヨット市場の需要供給の法則



ヨット市場の需要供給の法則



あれれ?この図は今まで違いますね。
一番初めの記事に登場した図と比べてください。







需要曲線と供給曲線の、傾きが極端に異なります。
実は、この傾きの違いが、ぜいたく税の副作用を生む原因となります。









2012年8月31日金曜日

税金とクルーグマン

経済学のテキスト





管理人は普段、



ポール・クルーグマン
ジョセフ・E・スティグリッツ
グレゴリー・マンキュー



このお三人様の経済学テキストを愛用しております。
エピソードが、めっちゃおもしろいんですよね。
おさん方とも、高名な経済学の先生方です。




経済学のテキストはおもしろい!



経済学はアカデミックエンターテイメント



中でも、クルーグマンのテキストが一番気に入っております。



テキストの冒頭で、
「(経済学は)アカデミック・エンターテイメントだ!」
と豪語されています。なるほど!と思いました。



個人的にいたく気に入って
いろんなところでこの言葉を使わせてもらってます(勝手に)




このブログのURLでもそうです。
一部をacademicentertainmet1とさせてもらってます(無許可で)




著作権関係の本も、いろいろと読んでみましたが、
一般名詞それ自体を使う場合は、セーフらしいので大丈夫だと思ってます。




著作権はセーフ




クルーグマンもマンキューもヨット税に注目!



マクラのところでテキストのお話を振ったのには理由があります。
クルーグマンマンキューのテキストに共通したエピソードが登場します。
それは、「ヨット税」のエピソードです。




ヨット税とヨット




富裕層からの税収UPを目的としたという主旨の税金です。
1990年にアメリカで制定されましたが、
思わぬ「副作用」をもたらして、わずか3年でに撤廃されたそうです。



このお話も需要曲線と供給曲線をいじれば、分析が可能となります。


需要と供給





需要と供給






次回のブログでは、このお話についてもうちょっと突っ込んでみましょう。




2012年8月30日木曜日

死荷重のしくみ

作図で死荷重を確認





前回では「三角形」に注目してくださいって言って終わりにしました。
「三角形」とは、グレーで示した⊿EABの分だけ、の部分にあたります。
この部分は「社会的な損失」となります。



課税によって発生した死荷重





課税によって発生した死荷重





死荷重の意味




死荷重が重大な意味をもつのは、取引による利益に含まれなくなるからです。
もともとのわが町のタクシー市場の需要と供給の図を見てみましょう↓



需要と供給の図




需要と供給の図




次に物品税が課税された状態を見てましょう↓
課税を作図で表現すると、X軸のある点で、線分ABのように「くさび」をかけることです。



政府の税収がかかった図




政府の税収がかかった図




そして元々、需要者にも、供給者にも存在していた、
取引の利益による三角形の部分と、長方形の部分を合わせてみましょう


台形の図




台形の図



もうお分かりでしょうか?
最初の大きな三角形と最後の台形では面積が違います。
⊿EABの分だけ、明らかに台形の面積が小さくなっています。





死荷重=「課税による失われた費用」





この小さくなった部分こそが、
「課税による失われた費用」となります。



政府も社会の構成要素の一つです。
政府税収によって市役所のパソコンも、国家公務員のお給料も賄われています。
しかし、この「死荷重」は「失われた課税の費用」として誰のトクにもなりません。



経済学のテキストでは、税金に関する記述が頻繁に出てきます。
それは経済学の考え方を使って「失われた課税の費用」を分析し、
「誰」が「どのように」を負担するか算定できるからでしょう。



ちなみに需要曲線と供給曲線を少しいじれば、
「誰」が「どのように」税の負担をするのかが見えてきます。



それは、また別の記事で紹介したいと思います。

(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪





2012年8月29日水曜日

死荷重と消費税

重くて暑い税金のおはなし


毎日、毎日、ク○暑いですよね(〃゚д゚;A アセアセ・・・
このブログを書いているそばでセミがミンミン鳴いてます。








早く、秋にならへんかな~~~。。。
それでなくても今から「重いネタ」書くのに。



政府の税収と死荷重




さて、前回のブログの記事をおさらいしましょう。
このような↓グラフを載せていました。


政府税収と死荷重







この図にもう少し解説を加えてみましょう。 色がついた三角形で仕分けてみます。




政府税収と死荷重2





色がついた2つの三角形は、モノやサービスを取り引きするときの、


売り手供給者、赤い三角形)と
買い手需要者、青い三角形)の


利益をそれぞれ表しています。





2つの三角形の面積は、自由に伸び縮みします。
本来の均衡価格Eに対して、税金をいくら上乗せするかで、
売り買いに対する利益が決まっていきます。
そのとき合わせて政府の税収も決まります。


「社会的損失」の発生



上の図において最も重要なことは、
税金によって死荷重すなわち「社会的な損失」も決まってしまうということです。




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ん?
なんじゃ、その「社会的な損失」って。
でも「政府税収=社会的損失」ってわけじゃないですよ!。両者は別物です。
今度はそこらへんのところを需要供給の図を動かしながらつっこんでいきます



あ、すいません。忘れてました。追記です。



さっきから管理人が税金、税金と言っているのは、
経済学のテキストで、よく「物品税」と言われています。



勘の鋭い方は。もうお気づきかもしれません。
物品税」とは、今何かと騒がせている「消費税」とも言えますね。



ちゃんちゃん!