おちゃらけミクロ経済学: くさび
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2012年9月8日土曜日

社会保険料(おまけ)

社会保険シリーズの応用例



今回は、「社会保険料」シリーズのおまけです。
ミクロ経済学で見る、社会保険料の分析を、政策立案に実際に応用してみましょう。



「社会保険料」シリーズのおまけ




みなさん、この図について覚えておいででしょうか?


労働市場の死荷重



労働市場の死荷重




社会保険料について、労働者(供給者側)の負担の方が大きい
というずですよね。(社会保険料は誰の負担か(4))



政策秘書が考える社会保険料負担の見直し




あなたは、ある町で、町長の政策秘書として活躍しいます。
ある日、あなたのボスである、町長に呼ばれました。



「今日の議会で社会保険料の負担について見直しが決まった。
何かいい案はないだろうか?」



たまたま当ブログの「社会保険シリーズ」を読んでいたあなたは、
このようなグラフを想像するのではないでしょうか?



労働市場の死荷重(逆バージョン)





労働市場の死荷重(逆バージョン)




今回の記事で最初に登場した図の、
労働曲線と供給曲線の弾力性を、それぞれ逆にした図です



相対的に見ると、


  • 需要(雇用主)に負担が軽い
  • 供給(労働者)の負担が重い



という従前の状況が是正されるのではないでしょうか?
それでは具体的にはどんな案になるでしょうか?




具体的な政策案その1



  1. 大規模なインフラを作る
  2. 大規模なインフラを使う企業をたくさん誘致する


という案が、考えられます。



具体例として考えるなら、
航空運輸産業(空港と航空運送サービス)や
いま流行のクラウド業界(汎用のソフトウェアと付随するプログラム)
などが挙げられるでしょう。




航空運輸産業




これらは、相対的に人手を要する仕事なので、
労働に対する需要が高くなり、曲線の傾きが大きくなることが期待できます。



具体的な政策案その2




それでは、供給曲線の傾きを変えることはできるでしょうか?
もし管理人が、政策秘書であれば、「できる」と考えております。



少し「ひねくれた制度」ですが、賃金が下がると労働時間を減らしやすい
という動機付けをする制度を作れば、いいのではないかと考えております。



が、今回の「思考実験」は、みなさんがわが町の政策秘書です。
管理人がでしゃばることはできません。



いい案がございましたら、私にも教えていただきたいと思います。



それでは!
ばいばい(⌒ー⌒)ノ~~~





2012年9月7日金曜日

社会保険料とクルーグマン

「名目的な負担」と「実質的負担」




今回のブログで社会保険料の「真の負担」を明らかにしてみましょう。







前回のブログではお話をこのように結んでいます。



"なんだか下の方の三角形が大きいですよね。
この場合、社会保険料は供給者側、つまり従業員にとって
負担が重くなる
のです"



雇用量の調整はしやすいが、労働時間の調整はしにくい




労働市場の死荷重












ポール・クルーグマンのテキストから、
この文章について、裏付けてみましょう。



"それでは、誰がFICAを支払うのか。この点を研究した経済学者はほとんどみな、FICAを支払うのは雇用者ではなく、労働者だということに同意している。こうした結論は、家計の労働供給の価格弾力性と企業の労働需要の価格弾力性の比較から出されたものだ。(中略)平均賃金が1%上昇すると労働時間への需要は少なくとも3%は減少する。しかし労働供給の価格弾力性はとても低いと信じられている"

ポール・クルーグマン「ミクロ経済学」東洋経済新報社 P154より




つまり、
雇用主は賃金(価格)が上がると、それ以上に雇用を減らすが、
労働者は、賃金が上がっても、労働量(労働時間)を、簡単に増やすことはできない




ということです。




このため、クルーグマンやマンキューのテキストでは、
FICAについて、社会保険料の負担は、「労働者の負担の方が大きい」と結論付けています。




日本の社会保険料は、
法律により労使折半で負担することが、慣例化されています。



たしかに保険料率は2で割れば、「名目的な」保険料の負担割合は、労使が同じ値になります。
しかし、「実質的」には、折半負担しているわけではないんですね~」。
このお話、管理人も経済学を勉強しててとてもビックリしたケーススタディです。




社会保険料からみる経済学まとめ




「社会保険料の誰の負担か」は、4回にわたってのシリーズでしたが、
結論するとこういうことになります。





  1. 社会保険料負担は、法律的など「名目的」に平等であるが、「実質的」には平等にできない。
  2. 社会保険料の「実質的な」負担は、需要曲線と供給曲線の傾きで決まる。



給与明細書で見落とされがちな社会保険料について、ネタを引っ張れそうなのもここまでです。
また面白そうなネタを考えるとしますか。。。。(⌒∇⌒)ノ""マタネー!!



FICAとは…


連邦保険寄与法(Federal Insurance Contribution Act)。
社会保障と医療システムのために給与から一定割合で天引きされる金額のこと。
別名「給与税」とも言われる。日本の「厚生年金保険法」と「健康保険法」に相当する制度です。



【追記】
「社会保険料の負担感は労使で異なる」ということについて、
下に上げる参考文献でも名言されて、いますので、引用文を紹介しておきます(2012年12月29日)

"経済学では、理論的にも、実証的にも、会社側の負担はは「実際には」そのほとんどが「労働者の負担となっていることが知られています。現実問題として、形式上、労使折半だからと言って、会社が半分負担してくれていると思うほど皆さんは甘い世界に生きているのでしょうか。この厳しい競争社会において、会社の経営者は、会社分の半分の負担をどうやって捻出するのでしょう。(中略)実際には、労働者の賃金を会社分だけ減らして、それをもとに会社が負担をしているのです。会社負担分だからといって、将来、会社が年金を受け取るわけではありませんから、実際に全額の年金を受け取る労働者の負担を転嫁するのは当然のことです"


(「年金問題は解決できる P84 第3章祖父と孫の年金受給格差は6300万円」 下線部は管理人)



【関連エントリ】



年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その1
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その2
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その3
年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革その4




【参考文献】


鈴木 亘 年金問題は解決できる! ―積立方式移行による抜本改革年金問題は解決できる! ―積立方式移行による抜本改革 日本経済新聞出版社


年金問題は解決できる! ―積立方式移行による抜本改革
 

2012年9月6日木曜日

社会保険料と労使折半

労使折半とは



さて、サラリーマンの方には、
おなじみの給与明細書にのっている、社会保険料のお話です。
半分ずつのものが、実は半分ずつじゃないお話です。



社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)の負担は労使折半である」
つまり、雇用主も従業員も、社会保険料の負担は半分ずつということです。





社会保険料率の変動



厚生年金保険料は、2012年月8末現在16.412%です。
それを割ると労使それぞれ8.206%ずつの負担となります。
ただし、2017年度までは保険料が少しずつ上昇します。



名目的な負担と実質的な負担



社会保険料と、その負担割合を見ると、
「社会保険の負担はやっぱり労使折半じゃないか!考えるまでもない!」
ということです。



確かにその通りでしょう。ただしそれは名目的に平等なだけです。
従って、ここから下では、実質的なお話をいたします。




まず前回のブログで紹介したこの図を思い出しましょう。



社会保険のくさびがかかった労働市場 





社会保険のくさびがかかった労働市場





そしてもうひとつ、思い出してください。
「需要の弾力性が、供給の弾力性より高いと、税金の負担にとってより高いものとなる」 
→→→参考記事




労働市場の死荷重






労働市場の死荷重




なんだか下の方の三角形、
つまり、労働を供給する側の死荷重が大きいですよね。




それではやっぱり・・・
(ノ゚ρ゚)ノ ォォォ・・ォ・・ォ・・・・
(つづく)




















2012年9月5日水曜日

社会保険料と弾力性

経済学は思考実験です



前回思考実験を、もう一度おさらいしてみましょう。グラフも用意しました。





思考実験



思考実験の材料)


  1. 労働は財である
  2. 賃金は価格である。
  3. 社会保険料は社会保険税とする




社会保険のくさびがかかった労働市場




社会保険のくさびがかかった労働市場




労働市場における需給曲線は極端に異なる




実際の労働市場では、以下のような曲線関係になると考えられます。
需要曲線の傾きと供給曲線の傾きが、大きく異なります。



労働市場 弾力的需要と非弾力的供給




労働市場 弾力的需要と非弾力的供給



これを経済学の専門用語を使って、説明すると、





  1. 需要曲線は弾力的
  2. 供給曲線は非弾力的




という表現になります(これらの用語についての詳しい説明はこちら)



「なんで需要曲線と供給曲線が、いきなりこんなに傾くねん?」
という声が聞こえてきそうなので、ご説明いたしまししょう。




これらのグラフは、一般的な労働市場を表します。
一般的な労働市場では、市場は次の通りに構成されます。




  1. 労働需要→雇用主(会社・団体など)
  2. 労働供給→従業員(労働者・被雇用者)



【曲線の特徴】



  1. 労働需要曲線→価格変動に反応しやすい。→雇用主は雇用量を調整しやすい。
  2. 労働供給曲線→価格変動しても反応が鈍い。→従業員は労働量を調整しにくい。




一般的な労働市場で労働の価格(賃金)が下がると?




賃金(価格)が下がった場合の、例を考えてみましょう。




  1. 労働需要側(雇用主)→賃金が下がったので、たくさんの人を雇い入れよう!
  2. 労働供給側(従業員)→賃金が下がっても簡単には、労働時間を少なくできない!




雇用主側は、企業や団体全体の利潤を考えなければなりません。
そのため、労働の価格が、安い時には、たくさん購入することを考えます。



また、従業員側は、転職など退職などにコストがかかるため、
簡単には労働移動をしません。このため労働の需要が減少すると、
賃金の下方修正を、受け入れざるをえなくなります。



このように、労働需要側労働供給側の思惑が違うため、
両者の曲線の傾きは、極端に異なります。
そして、この思惑の違いが、社会保険料の負担感に、違いを生じさせます。
(つづく)



2012年9月4日火曜日

社会保険料と給与明細書

月に一度は給与明細書




皆さんは、給与明細書というものを、見たことがありますか?
会社や団体にお勤めの方なら、月に一度は渡される紙ですね。





給与明細書、お金






といっても、内容について、最近では紙ではなく、
Web上で個別に閲覧させてくれるところもあるみたいですが。




給与明細書の使われ方




さて、この給与明細書ですが、管理人の周りでは、よくこんな話を聞きます。




「手取り額のところしか見ない」
「興味があるのは超過勤務で何ぼ上乗せされているか見たいだけ」
なんとも、もったいない・・・




社会保険料厚生年金保険料・健康保険料)の項目が、見落とされているじゃないですか!
もっとも、社会保険料って、給与の総額から天引きされていますしね。
少なくとも2017年度までは、厚生年金保険料は、毎年UPしますので、
見たくない気持ちはよく分かりますが・・・




それだけに、管理人からすれば、社会保険料はおいしい!
みんなが見落としがちなネタですから!⌒ >+○ヽ(・o・ヽ) キャッチ!!





トニー谷のマネ、そろばん勘定





ミクロ経済学と社会保険料




今回は、社会保険料について、「思考実験」してみましょう!




しばらく、税金のテーマばっかり書いてきたので、
このさい同時に天引きされている所得税や、住民税などは無視しちゃいましょう!
(わがままですいません)





(実験の材料)



  1. 労働は財である
  2. 賃金は価格である。
  3. 社会保険料は社会保険税とする



この材料に基づくと、こんな図が、出来上がります↓↓↓



社会保険のくさびがかかった労働市場




社会保険のくさびがかかった労働市場



これどっかで見たことなかったっけ?
時間に余裕のある方は、当ブログの中を探してみてください(笑)
(つづく)




2012年8月31日金曜日

税金とクルーグマン

経済学のテキスト





管理人は普段、



ポール・クルーグマン
ジョセフ・E・スティグリッツ
グレゴリー・マンキュー



このお三人様の経済学テキストを愛用しております。
エピソードが、めっちゃおもしろいんですよね。
おさん方とも、高名な経済学の先生方です。




経済学のテキストはおもしろい!



経済学はアカデミックエンターテイメント



中でも、クルーグマンのテキストが一番気に入っております。



テキストの冒頭で、
「(経済学は)アカデミック・エンターテイメントだ!」
と豪語されています。なるほど!と思いました。



個人的にいたく気に入って
いろんなところでこの言葉を使わせてもらってます(勝手に)




このブログのURLでもそうです。
一部をacademicentertainmet1とさせてもらってます(無許可で)




著作権関係の本も、いろいろと読んでみましたが、
一般名詞それ自体を使う場合は、セーフらしいので大丈夫だと思ってます。




著作権はセーフ




クルーグマンもマンキューもヨット税に注目!



マクラのところでテキストのお話を振ったのには理由があります。
クルーグマンマンキューのテキストに共通したエピソードが登場します。
それは、「ヨット税」のエピソードです。




ヨット税とヨット




富裕層からの税収UPを目的としたという主旨の税金です。
1990年にアメリカで制定されましたが、
思わぬ「副作用」をもたらして、わずか3年でに撤廃されたそうです。



このお話も需要曲線と供給曲線をいじれば、分析が可能となります。


需要と供給





需要と供給






次回のブログでは、このお話についてもうちょっと突っ込んでみましょう。




2012年8月30日木曜日

死荷重のしくみ

作図で死荷重を確認





前回では「三角形」に注目してくださいって言って終わりにしました。
「三角形」とは、グレーで示した⊿EABの分だけ、の部分にあたります。
この部分は「社会的な損失」となります。



課税によって発生した死荷重





課税によって発生した死荷重





死荷重の意味




死荷重が重大な意味をもつのは、取引による利益に含まれなくなるからです。
もともとのわが町のタクシー市場の需要と供給の図を見てみましょう↓



需要と供給の図




需要と供給の図




次に物品税が課税された状態を見てましょう↓
課税を作図で表現すると、X軸のある点で、線分ABのように「くさび」をかけることです。



政府の税収がかかった図




政府の税収がかかった図




そして元々、需要者にも、供給者にも存在していた、
取引の利益による三角形の部分と、長方形の部分を合わせてみましょう


台形の図




台形の図



もうお分かりでしょうか?
最初の大きな三角形と最後の台形では面積が違います。
⊿EABの分だけ、明らかに台形の面積が小さくなっています。





死荷重=「課税による失われた費用」





この小さくなった部分こそが、
「課税による失われた費用」となります。



政府も社会の構成要素の一つです。
政府税収によって市役所のパソコンも、国家公務員のお給料も賄われています。
しかし、この「死荷重」は「失われた課税の費用」として誰のトクにもなりません。



経済学のテキストでは、税金に関する記述が頻繁に出てきます。
それは経済学の考え方を使って「失われた課税の費用」を分析し、
「誰」が「どのように」を負担するか算定できるからでしょう。



ちなみに需要曲線と供給曲線を少しいじれば、
「誰」が「どのように」税の負担をするのかが見えてきます。



それは、また別の記事で紹介したいと思います。

(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪





死荷重と利潤

経済学とは思考実験です





さて、今回は 思考実験から入ってみましょう!





思考実験



経済学という学問も、一種の思考実験です。




一見複雑な事象を「経済理論」にかざして単純化し、
さまざまな問題を解決していきます。前回のブログで言っていた社会的損失も複雑な事象です



平たく言えば、



「複雑な世の中にすメスを入れ、部下の探偵どもを世に放ち、
~~~、なんちゃらかんちゃら~~~」



っていう「探○ナイトスクープ」の歴代局長の
ありがた~いお言葉みたいなもんですわ(笑)



売上税の徴収とは?





以下の仮想空間を「我々が住む町のタクシー市場」と想定してみましょう。
タクシー市場は事業者とお客さんが話し合いで自由に料金を決められるとします。



タクシー市場



と、まあ作図するとこんな感じになりますか。



わが町のタクシー市場






そしてこの仮想空間に次の条件を入れてみましょう。




「市当局は乗車1回につき200円のタクシー事業者に対し、タクシー税という売上税を徴収する」
すると、タクシー事業者は値上げを開始します。この場合600円のところまでです。





タクシー税が徴収されるわが町のタクシー市場




供給曲線の上方シフト



なんで600円のところかって?
良い質問です。



乗車料金が600円になると
もともとのタクシー市場においてお客さんは8,000回しか乗車しません。
乗車料金(価格)が上昇すると、乗車回数(需要)は減ります。
(A点に注目)



その乗車回数が、8,000回のとき、
お客さんは600円で乗車サービスを求めます。



そしてタクシー事業者は、400円で乗車サービスを提供し、
200円(600円-400円)の利潤が手元に残ります。



そのタクシー事業者の利潤に200円に対して課税され、
政府の税収となっているのです!!!



細い供給曲線から太い供給曲線の軌跡を見てみると、
ちょうど「くさび」が打ち込まれたような図に見えます。




くさびが打ち込まれた図





くさびが打ち込まれた図








政府税収の計算方法






さらに、Y軸からA点とB点までの長さと、くさび上のA点からB点の高さ
に注目してみましょう。



長さと高さの、それぞれを掛けると、
ちょうど、タクシーの売上に対する政府の税収となります。



このときの「タクシー税」は、
200円×8,000回 = 160万円の政府税収が見込まれます。






政府税収の図




政府税収










でももっと注目していただきたいのは、
その隣にある「三角形AEB」の部分なんです△△△




この三角形こそが課税による社会的損失
すなわち「失われた費用」となります。