独占に対する公共政策について
独占による非効率は、価格差別で、ある程度打ち消すことができますが、
完全に価格差別を行うのは難しい話です。
同じ商品について、顧客の数だけ価格の種類を用意しろ、というのはいかにも非現実的です。
完全価格差別のときの死荷重
そこで、価格差別以外にも独占を阻止する方法がいくつかあります。
今回はいくつかその手段を、ご紹介しましょう。
Limited express "Raicho" / tsuda
独占に対する最良の政策→公有化と価格規制
独占の問題に対して、一般的によく取られる手法は、公有化と規制です。
- 公有化→政府または政府が所有する企業が財を供給すること
【メリット】
企業の目的を利潤最大化ではなく、広く財が行きわたっていることに設定することができる
【デメリット】
公有企業は民間企業に比べて費用逓減への取り組みが熱心ではない。
政治的利害の道具になりやすい。
【例】
旧国鉄の鉄道事業、旧電電公社の電話サービスなど
- 価格規制→独占企業が設定できる価格に制限を加えること
【メリット】
企業の目的を利潤最大化ではなく、広く財が行きわたっていることに設定することができる
【デメリット】
財が行きわたるための価格を見つけることが困難。
またその価格設定が、政治的利害の道具になりやすい。
【例】
電気料金、ガス料金など
独占に対する最良の政策→「何もしない」
結局、独占を減らそうとする公共政策には、それぞれに欠点が付きまといます。
そのため、経済学者の中には、政府は「何もしない」ことが最良の政策であることを
主張する人もいます。
下記の記述は、マンキュー経済学〈1〉ミクロ編 から引用していますが、
元々は、ノーベル経済学者のジョージ・スティグラーが、「フォーチュン経済学百科」に
書いた評価が、ソースとなっています(引用の引用ですんません!)。
"「経済学の有名な定理では、競争企業経済が所与の資源のストックから最大の所得を生み出せることを述べている。現実経済のどこにも、この定理の条件を厳密に満たすところはない。すべての現実経済は理想的経済に至らず、その差は『市場の失敗』と呼ばれる。しかしながら私の見るところでは、アメリカ経済の『市場の失敗』の程度は、現実の政治制度にみられる不完全な経済政策から生じる『政治の失敗』の程度よりもはるかに小さい」"
(P442マンキュー経済学<1> ミクロ編 第15章独占 下線は管理人が引きました)
【参考文献】
グレゴリー・N・マンキュー マンキュー経済学〈1〉ミクロ編 東洋経済新報社
1>
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