おちゃらけミクロ経済学: 最適数量
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2013年1月20日日曜日

限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その5

限界分析の原理とビジネスの基本の関係



前回のブログでは、「やればやっただけ報われたい」、
でも「働き損のくたびれ儲け」になりたくない、という方に向けて記事を書いてみました。



これらの願望をかなえるためには、一般的には「ちょうど」という言葉が、
使われたりします。ミクロ経済学の言葉を使うと、限界分析の原理を用いて、
最適数量を導くということになります。




「ちょうど」・表面張力

Sake - Surface Tension / naotakem



最適数量のルールを探す




この最適数量を探すためには、どうすれば良いでしょうか?
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その2で登場した限界費用の概念と、
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その3で登場した限界便益(限界収入)の概念を
比較すれば良いのです。



家康くんの例を取れば、運動指導をする人数を増やしたときに、
後者が前者をまだ上回っていれば、人数を増やしても、純利益は拡大します。



逆に、運動指導をする人数を増やしたときに
後者が、前者を下回ることになれば、人数を増やしたときに、純損失が拡大します。



マンツーマントレーニングの最適数量のルール


マンツーマントレーニングの最適数量のルール


  • 青い円→人数を増やしたときに純利益が拡大する状態
  • 赤い円→人数を増やしたときに純損失が拡大する状態


つまり、最適数量のルールというのは、
限界便益(限界収入)と限界費用が、等しくなるまで生産するということなのです。



「総便益(総収入)= 総費用」との取り違いに注意




最適数量のルールとは、純利益を最大化させるためのルールでもあります。
しかし、限界便益(限界収入)= 限界費用という考え方は、話の順を追って確認しないと、
総便益(総収入)= 総費用と勘違いすることがあります。



総便益(総収入)を会社(営利法人)の言葉で表現すれば、売上高になります。
若手のビジネス・パーソンの方などは、日頃の仕事の関心事として、
つい売上高のみに、興味がいってってしまうことがあります。



ですが、純利益を最大化させるためのルールとして、限界便益(限界収入)= 限界費用
のところを、総便益(総収入)= 総費用に取り違えてしまうと、何の儲けにもなりません。
広く使われている言葉に直せば、「売上高 = 費用」になるので、当たり前すぎる話なのですが。



もし、限界便益(限界収入)= 限界費用という考え方について、
「すごく気になる!」という熱心なビジネス・パーソンの方は、復習がてら関連エントリまでどうぞ!
(限界分析の原理 「ちょうど」の考え方シリーズおわり)




【関連エントリ】


限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その1
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その2
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その3
限界分析の原理  「ちょうど」の考え方その4




2013年1月18日金曜日

限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その4

「働き損のくたびれ儲け」にならないためのコツ




誰でも働いたら、働いた分だけ報われたいものです。
報われるための手段や、方法(おカネ・モノ・名誉など)とその量は、
人によって異なりますが、そのように思うこと自体は、多くの人に共通することでしょう。



逆に、見出しにあるように、働いても報われないどころか、
「くたびれ損」をするというのは、誰しもやりたがらないことでしょう。



そうは言っても、浮世のならいでどうしても、
「くたびれ損」覚悟で、「働かなければならない」ときもあります。



実は、「働き損のくたびれ儲け」という言い回しは、ブログのタイトルにも使われている、
限界分析の原理と、通じるものがあります。前々回は、限界費用についてのお話でした。
前回は、限界便益(限界収入)についてのお話でした。



そして、この2つの「限界」の考え方を合わせることで、
「働き損のくたびれ儲け」にならないための、コツが分かるようになります。




江戸の浮世

DSCN1772 / t.ohashi



家康くんにとっての「ちょうど」とは




前々回、前回のブログで登場した、スポーツジムでマンツーマントレーニングの指導をしている
家康くんの、限界便益(限界収入)と限界費用について、考えてきました。



いくら、運動の指導が好きな家康くんといえど、
赤字続きでは、仕事そのものが続けられなくなります。そこで家康くんは、手持ちの分析表に
限界便益(限界収入)と限界費用の他に、純利益という項目を加えました。



マンツーマントレーニングの純利益



マンツーマントレーニングの純利益




すると、指導人数が5人目のときの純利益としてプラスになっていますが、
6人目以降は、純損失としてマイナスになっていることが、分かります。
ここから、家康くんが1日当たりに指導する人数は、5人が「ちょうど」であることが、分かります。



「ちょうど」とは最適数量のこと




限界便益(限界収入)・限界費用・純利益の表について、
グラフにすると、次のようになります。x軸を基準にしてみると指導する人数が、
5人から6人のところで、限界便益(限界収入)・限界費用の両曲線が、
交差していることが分かります。



マンツーマントレーニングの最適数量


マンツーマントレーニングの最適数量




細かく計算をすれば、5.○人というところが、「ちょうど」というところでしょう。
ですが、人数はは1人・2人と離散的にしか、数えられないため、5人が、
家康くんにとっての「ちょうど」となります。



このように、「やればやるほど報われたい」、でも「働き損のくたびれ儲け」にはなりたくない、
という数量のことを、ミクロ経済学では最適数量といいます。
(つづく)





2013年1月17日木曜日

限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その3

限界費用逓増と限界便益逓減はワンセット




前回のブログでは、家康くんのマンツーマントレーニングについての、費用を分析してみました。
今回のブログでは、便益(収入)について考えてみましょう。



家康くんは、マンツーマントレーニングの指導報酬について、
1人ひとりの時間やニーズに合わせて、相対(あいたい)で決めています。
(1回○○○円と決めているわけではありません)。



忙しくても効果的なダイエットトレーニングを、
受けたいと思っている人にとっては、少々高い報酬を支払っても良いと考えるでしょう。



逆に、自由になる時間が多く、ある程度ダイエットについて自分で勉強し、
トレーニングができる人にとっては、それほど高い報酬を支払うことはないでしょう。



スケートの練習

ALG_0496 / nikontino



限界便益(限界収入)の分析



仮に家康くんのお客さんは、マンツーマントレーニングについて、
1回あたり、次のような価格で報酬を支払いたい、と考えているとしましょう。


  • 3,500円が1人
  • 3,000円が1人
  • 2,600円が1人

…etc


すると家康くんの便益(収入)分析は、このようになります。



マンツーマントレーニングの限界便益(限界収入)



マンツーマントレーニングの限界便益(限界収入)



また、この表をグラフにすると、指導の人数を増やせば増やすほど、
Y軸(限界便益)の値が低くなっています。この現象は、限界便益逓減という性質を表しています。
直感的な言葉を使うと、「やってもやっても余計に儲からない」という感じです。



マンツーマントレーニングの限界便益(限界収入)(グラフ)



マンツーマントレーニングの限界便益(限界収入)(グラフ)



限界便益逓増という考え方もある



もちろん、すべての活動において、「やってもやっても余計に儲からない」という
限界便益逓減の状態が、発生するわけではありません。




ミクロ経済学で、いわゆる「独占」と呼ばれる企業では、
「やればやるほど余計に儲かる」という状態が発生します。
(といってもある一定量の販売(生産)に限られており、永遠に続くというわけではありませんが)



また、個人レベルの活動になると、限界便益逓増という現象も見られます。
例えば「便益 = 面白さ」と考えられるスポーツなどは、その典型例です。



最初は、動きもぎこちなく、ゲームをしていてもあまり面白くありません。
しかし体力がついたり、動きに慣れてきたりすると、「面白さ」はプレーする量と比べて、
ずっと大きくなります。




ただし、ミクロ経済学を学習する上では、限界便益(限界収入)逓減の方が、
基本的な考え方になります。しばらくは、前回のブログで登場した限界費用逓増と
限界便益(限界収入)逓減とセットで覚えてしまいしょう。
(つづく)




【関連エントリ】


限界費用逓増の法則と微分 その5





2013年1月16日水曜日

限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その2

どうすればやりがいを感じられるか?



前回のブログでは、ダイエットの例を用いて、限界分析の原理について考えてみました。
まず限界とは、「端」のことです。そして限界分析とは、この「端」の調整をどうするか?
ということなのです。そして「原理」と付けるのは、「端」の調整について、一定のルールが、
あることを示しています。



前回のブログでは、ダイエットのお手伝いをするスポーツジムについて、
ご紹介をしました。今度は視点を利用者から、インストラクターに変えて、
「どうすればやりがいを感じられるようになるか」について、ミクロ経済学的に考えてみましょう。




インストラクター

佐野選手を指導する松江コーチ / HIRAOKA,Yasunobu



限界費用の分析



家康くんは、健康問題について大変熱心な人物です。
自分で勉強をしてインストラクターの資格を取り、たくさんのスポーツジムで、
マンツーマンのトレーニングを、以下のような条件で実施しています。


  • トレーニングの指導は1人1時間
  • 機会費用は時給1000円(インストラクターをせず別の仕事をしたときに得られる金額)
  • 経費はジム間の移動にかかわるバイクのガソリン代とバイクの修理・維持費
  • ガソリン代は1時間当たり50円で一定
  • バイクは使えば使うほど故障しやすく修理・維持費が追加的に増大していく


すると家康くんのマンツーマンのトレーニングを実施すると、
次のような費用分析が出来上がります。



マンツーマントレーニングの限界費用


マンツーマントレーニングの限界費用



またこの表をグラフにすると、指導の人数を増やせば増やすほど、
Y軸(限界費用)の値が高くなっています。この現象は、限界費用逓増という性質を表しています。
直感的な言葉を使うと、「やればやるほど余計に費用がかさむ」という感じです。



マンツーマントレーニングの限界費用(グラフ)



マンツーマントレーニングの限界費用(グラフ)


限界費用逓増と特化の利益




もちろん、すべての活動において、「やればやるほど余計に費用がかさむ」
という限界費用逓増の状態が、発生するわけではありません。



例えば、トレーニングの内容をマンツーマンではなく、1人の人間に任せるのではなく、
多くのトレーナーを雇うとしましょう。そして、「下半身の筋肉担当者」、「上半身の筋肉担当者」、
「食事の担当者」という具合に役割を特化させると、限界費用は逓増ではなく、逓減します。



これは各担当者1人1人が、それぞれ最も得意とする、指導に特化できるようになり、
特化の利益が、限界費用を減少させるからです。特化による利益は、
いわゆる分業による利益のことです。
(つづく)




【関連エントリ】


規模の経済と規模の不経済その6









2013年1月15日火曜日

限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その1

2種類の意思決定について



管理人は、スポーツジムが好きなので、毎日のように通っています。
そのせいか、お店のいたるところに、


  • 「きれいにやせよう」
  • 「余計な脂肪を燃やそう」


という案内が貼り出されているのが、よく目につきます。



いわゆる、ダイエット(商品・サービス)のすすめです。
そのダイエットをするときにみなさんは、「食べるか食べないか?」、
という二者択一の選択をされるでしょうか?



管理人が、図書館や書店の平場で眺めていたり、アマゾンの検索をした限りでは、
そのような方法をオススメしている、ダイエット本をあまり見かけたことはありません。



二者択一の選択でも、ダイエットとして、やってやれないことはないのでしょうが、
後で体重がリバウンドがし来たり、栄養失調に陥るなどして、
ダイエット方法として、とても非効率な方法だと思われます。




ダイエットのためのジョギング

Jogging around the reservoir #1 / Ed Yourdon




「するかしないか?」ではなく「どれぐらいするか?」




もっとも、スポーツジムの案内を、よく読んでみると「きれいにやせたい」、
「余計な脂肪を燃やしたい」という願望をかなえるために、二者択一の選択を迫ることはありません。



「食べるか食べないか?」という選択ではなく、「どれぐらい食べて、どれぐらい消費するか」
という点に、力点(アピールポイント)が、おかれています。


  • 脂肪を減らし、筋肉を減らさないこと
  • 筋肉を活性化させて、基礎代謝量を増やすこと


これらを実践するために、スポーツジムでは、
マンツーマンのトレーニングと専用の食事が用意されています。
(これが「なかなかいいお値段」なので、試したことはありませんが…)



限界分析の原理と最適数量




もちろん、トレーニングや専用の食事は、さまざまな専門家の知見が利用され、
ダイエットの方法として効果が、高いものであると思います。
ですが、最初の発想は、ごく単純な発想だと思います。


  • 「入る」を制して、「出る」を増やす
  • 「入る」と「出る」をちょうどにする(もしくは「出る」の方を少しだけ多めに)


この単純な発想は、ミクロ経済学では、限界分析の原理と呼ばれています。
これは、ある活動の最適な水準は、その活動にかかるコストと効果が、
等しくなる活動水準にある
ことを表した、初歩的な原理です。



運動も食事も、熱量(カロリー)で表すことができます。
ダイエットであれば、それぞれにとって、最適な熱量(カロリー)というものがあります。
実は、この最適という言葉も、ミクロ経済学の世界では、専門用語の一つです。



限界分析の「限界」という概念は、使い慣れていないと、少し分かりにくいものです。
当ブログでもたびたび登場していますが、この限界分析の原理のうち、
まずは限界分析の概念について、復習がてら明らかにしていきましょう。
(つづく)




【関連エントリ】


限界費用逓増の法則と微分 おまけ