おちゃらけミクロ経済学: 限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その2

2013年1月16日水曜日

限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その2

どうすればやりがいを感じられるか?



前回のブログでは、ダイエットの例を用いて、限界分析の原理について考えてみました。
まず限界とは、「端」のことです。そして限界分析とは、この「端」の調整をどうするか?
ということなのです。そして「原理」と付けるのは、「端」の調整について、一定のルールが、
あることを示しています。



前回のブログでは、ダイエットのお手伝いをするスポーツジムについて、
ご紹介をしました。今度は視点を利用者から、インストラクターに変えて、
「どうすればやりがいを感じられるようになるか」について、ミクロ経済学的に考えてみましょう。




インストラクター

佐野選手を指導する松江コーチ / HIRAOKA,Yasunobu



限界費用の分析



家康くんは、健康問題について大変熱心な人物です。
自分で勉強をしてインストラクターの資格を取り、たくさんのスポーツジムで、
マンツーマンのトレーニングを、以下のような条件で実施しています。


  • トレーニングの指導は1人1時間
  • 機会費用は時給1000円(インストラクターをせず別の仕事をしたときに得られる金額)
  • 経費はジム間の移動にかかわるバイクのガソリン代とバイクの修理・維持費
  • ガソリン代は1時間当たり50円で一定
  • バイクは使えば使うほど故障しやすく修理・維持費が追加的に増大していく


すると家康くんのマンツーマンのトレーニングを実施すると、
次のような費用分析が出来上がります。



マンツーマントレーニングの限界費用


マンツーマントレーニングの限界費用



またこの表をグラフにすると、指導の人数を増やせば増やすほど、
Y軸(限界費用)の値が高くなっています。この現象は、限界費用逓増という性質を表しています。
直感的な言葉を使うと、「やればやるほど余計に費用がかさむ」という感じです。



マンツーマントレーニングの限界費用(グラフ)



マンツーマントレーニングの限界費用(グラフ)


限界費用逓増と特化の利益




もちろん、すべての活動において、「やればやるほど余計に費用がかさむ」
という限界費用逓増の状態が、発生するわけではありません。



例えば、トレーニングの内容をマンツーマンではなく、1人の人間に任せるのではなく、
多くのトレーナーを雇うとしましょう。そして、「下半身の筋肉担当者」、「上半身の筋肉担当者」、
「食事の担当者」という具合に役割を特化させると、限界費用は逓増ではなく、逓減します。



これは各担当者1人1人が、それぞれ最も得意とする、指導に特化できるようになり、
特化の利益が、限界費用を減少させるからです。特化による利益は、
いわゆる分業による利益のことです。
(つづく)




【関連エントリ】


規模の経済と規模の不経済その6









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