おちゃらけミクロ経済学: 独占禁止法
ラベル 独占禁止法 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 独占禁止法 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年12月19日木曜日

寡占市場~製品差別化への道 その2

価格戦争から製品差別化へ



前回、暗黙の共謀が、さまざまな理由のため、
なかなか成立しないことを説明しました。
そうなったときに、寡占企業が取る手段は、主に2つあります。


  • 価格戦争
  • 製品差別化


前回、説明した価格戦争とは、売り手同士が互いに相手を市場から
ビジネスを叩き出すために、裏切りや非協力的な行動に罰を与えるものです。





For Sale / oatsy40





消費者に違う「何か」を訴える





といっても戦争ばっかりやっていると、仁義なき戦いみたいになって、
寡占企業の体力が疲弊することは、想像に難くないでしょう。



注目するのはライバルの生産者ではなく、お客さんとなってくれる消費者です。
消費者は、必ずしも自社の製品とライバル社の製品を同一に考えるわけではありません。



そこで企業が、自社の製品と他社の製品は異なる買い手に、
納得してもらおうとしているとき、その企業は製品差別化を行っていると言います。




製品差別化と独占的競争





寡占企業が行う、製品差別化の具体例を挙げると次のようなものがあります。



  • おまけをつける
  • パッケージのデザインを変える
  • TVやインターネット上で広告活動する
  • 多数の営業マンを使って販促活動をする。



市場や製品によっては、かつて寡占市場のそれであったものが、
次第にそうではなくなるケースもあります。



次回のシリーズでは、この製品差別化とそれにまつわる、
独占的競争について考えていきましょう。


(「寡占市場~単一の財から製品差別化へ その2」シリーズ終わり)








2013年12月18日水曜日

寡占市場~製品差別化への道 その1

暗黙の共謀の破綻→価格戦争



これまでいくつか単純な寡占市場について例を見てきました。
いずれも市場には2つの企業しかなく、単一の財を扱うものとするものです。






そのため、共謀は独占禁止法に触れるので、やらなかったとしても
共同で利潤を増加させるためには、暗黙の共謀を実現してしまうかもしれません。





The Arctic Council observers meeting 02 / PolandMFA





ホントは実現が困難!?~ 暗黙の共謀





ですが、現実の市場には様々な要因が絡み合い、暗黙の共謀はなかなか実現しません。
実現しない要因は大体、次のようなものです。


企業数の多さ

企業数が多くなればなるほど自らの行動が他企業の利潤に与える影響を考慮に入れて
協調的な行動を取るインセンティブは小さくなる。


製品と価格設定の複雑さ

例ではただ2つの企業と単一の財を取り扱っていることにしていましたが、
実際に寡占企業が何千種類もの財を販売することは珍しくありません。
そうなるとライバル社の生産や価格設定を調査することは容易ではない。


利潤の不一致

例では、ともに限界費用がゼロであるという前提でしたが、実際には
寡占企業間の限界費用は異なり、利潤を最大化するための生産量を
暗黙のうちに分け合うのは困難。




仁義なき「経済の戦い」~価格戦争





というわけで、現実には暗黙の共謀というものは、実現するのが大変困難です。
共謀が破綻して、価格戦争が起きることもしばしばです。



価格戦争とは、囚人のジレンマの「自白」や、
しっぺ返し戦略の「常に裏切り」を仕掛けるようなものです。



単に非協力的な水準への急落であることもあれば、
それすら下回るような価格で売り出すこともあります。




(つづく)







2013年10月25日金曜日

寡占市場~共謀と非協力的行動 その3

「正式でない」共謀も存在する




産業全体で利潤が減少するとしても、寡占企業は独占企業よりも
生産量を増加させるインセンティブを持ちます。



生産量を増加させると、財の価格は下がります。
その負の価格効果は、独占企業1社がすべての財について、
引き受けけなければないのに対して、2社以上の寡占企業は、
自分のところの財の価格だけを下げればいい、と考えるからです。



寡占企業1社分の財の価格を引き下げることは、独占企業が
価格を引き下げることよりも影響が小さくみえるます。
そのため寡占企業は、自社の利益だけを追求する非協力的行動
出ることが考えられます。




Cherry Cola / pmsyyz





「正式な」共謀→独占禁止法違反






しかし、改めてコーラの需要表を見ると、寡占企業(複占企業)同士で
生産量を調整した方が、産業全体の利益は大きくなります。


コーラの需要表





従って、寡占企業は共謀することについてインセンティブを持つことになります。
しかし、「正式に」共謀を持つことは、独占禁止法のカルテルに抵触します。
関係者は、公正取引委員会から呼び出され、疑惑の目でにらまれることになるでしょう。




共謀か?非協力的行動か?





それでは、「正式な共謀」ができない寡占企業にとって、カルテルは不可能で、
非協力的行動によって、生産競争を繰り返すしかないのでしょうか?



もちろん、独占禁止法を無視して、こっそりとカルテルを推し進める場合もありますが、
「正式な」取決めがなくても、共謀を実施することはできます。
それは、市場価格にこだわらず、生産物を販売する場合です。


寡占企業が直面する「経済学的難問」








(寡占市場~共謀と非協力的行動」シリーズ終わり)

2013年10月17日木曜日

寡占の基本・複占について その2

寡占市場でも企業のやりたい放題ではない



前回、ある町におけるコーラの需要表を載せてみました。
この町のコーラの最大需要量は120,000ℓです。


コーラの需要表





その需要量にもとづき、C社とP社の2つの複占企業が、その供給を行っているとしましょう。
このとき、2つの企業はどのように生産量を決めるでしょうか?




カルテルと独占禁止法





「120,000ℓの生産量を2つの企業で分け合えばいいじゃないか!」
最初にこんな考えが思いつきそうですが、この考え方はアウトです。
この行為はカルテルとよばれ、独占禁止法における違反行為となります。



仮に独占禁止法の網をかいくぐったとしても、複占企業
自社の生産量を決めるにあたっていくつかの「経済学的難問」に突き当たります。




Japan Airlines Boeing 767-346ER (JA654J/40366/999) / contri





法律以外にもいろいろ問題が存在する





ではその「経済学的難問」とは何なのか?
それは価格を軸に置くか、生産量を軸に置くかで様々な問題が出現します。
ざっとまとめれば以下の通りです。



寡占企業が直面する「経済学的難問」








次回以降のシリーズでは、これらの「難問」について
ひとつずつ解き明かしていきたいと思います。



(「寡占の基本・複占について」シリーズ終わり)