【祝】ブログ連載50回記念【祝】
数えてみたら、このブログを開設して、おかげさまで記事連載が、50回に到達しました。
といっても、管理人は、大変ものぐさな性格なので、
特別に「記念行事」や「特別ネタ」を、用意しているわけではありません。
祝賀会 / june29
ただ、この「限界収穫逓減の法則」シリーズでは、
経済学について「陰鬱な科学」とか、飢餓や疫病(と戦争)によるとか、
暗い記事をUPして、さんざん煽ってしまったので、
最後は、これらを打ち消して、明るく締めようかと考えています(笑)
「他の条件を一定」としたとき限界収穫逓減が成り立つ
これまでのブログで、18世紀・イギリスの経済学者である、ロバート・マルサスは、
「人口論」で、限界収穫逓減の法則により、食糧の生産は、頭打ちになることを書いてきました。
しかも、その結論は、人口の増加ペースが、食糧の増産ペースを上回るため、
やがて、人口の増加は、飢餓と疫病(と戦争)になって抑制され、
常に貧困状態にあることが当然、という衝撃的なものでした。
ですが、人口研究の権威でもあった、マルサスの予測通りにはならず、
21世紀の人口は、18世紀の人口よりも、はるかに増加しています。
実は、マルサスの悲惨な予測には、一つの前提条件がありました。
それは、「他の生産要素を一定とすれば」、食糧の増産は、頭打ちになるということです。
生産要素の変化による「上方シフト」
マルサスが指摘した農業の「生産要素」を具体的に挙げると、以下になります。
- 土地→耕地が広がり
- 資本→土地や機械を購入するための元手
- 技術革新→農業機械の開発や品種の改良
- 教育・訓練→人間による機械の操作や収穫方法の確立
もしこれらの生産要素の変化をグラフで表すと、
総生産曲線と限界生産物曲線は、「上方シフト」が発生します。
総生産曲線の上方シフト
限界生産物曲線の上方シフト
2つのグラフは、確かに、限界収穫逓減の法則に従っています。
しかし、総生産曲線のグラフを見ると、全ての労働投入量において、生産量は増加しています。
また、限界生産物曲線は、全ての労働投入量において、1人当たりの生産量が、増加しています。
再考~マルサスの「人口論」
前回のブログ(リンク)でも、読者の皆様にマルサスが「人口論」で述べた主張が、
「ハズレ」なのか、「あたり」なのかを、お尋ねしました。
答えは、「半分ハズレ」で「半分あたり」です。
「ハズレ」については、直感的にお分かりになると思います。
当ブログを書いている私も、見ていただいている読者の皆さまも、
今もって生きているということが、その証拠です(笑)
「あたり」というのは、マルサスが、農業生産について、
「他の生産要素を一定」とした場合、2つの曲線の「上方シフト」は発生せず、
やはり、人口増加に比して、食糧増産が鈍化するということです。
経済学の役割
このように限界収穫逓減の法則は、他の条件を一定としたとき、
追加的な労働投入による生産量の増加率はやがて鈍化する、ということを表します。
もっとも、他の経済学の命題がそうであるように、
それは、あくまで「他の条件を一定」としたときであって、
「条件」が変われば、限界収穫逓減の法則による曲線の傾きは、変化します。
先に、経済学について「陰鬱な科学」であると申しましたが、
決してそれにとどまるものではありません。
自動車の大量生産方式、大規模な流通網の確立、インターネットの発明などは、
全て技術革新により、それぞれの生産量を増やしてきました。
その結果、人間の生きる可能性を、広げてきたものです(もちろん弊害も出しましたが)。
味の素物流 / Lucy Takakura
経済学という科学は、曲線の傾きを通して、「人間の生きる可能性」を
考察するための科学であるとも言えるのです。
(限界収穫逓減の法則シリーズ終わり)
参考文献:
ロバート・マルサス 人口論 (中公文庫)
フレデリック・P・ブルックス,Jr 人月の神話
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