「人口論」と「北斗の拳」
前回のブログでは、飢餓と疫病(と戦争)で、人口の増加が、頭打ちになるという、
アニメ・「北斗の拳」さながらの、すさまじい結論で、記事を締めくくりました。
この結論は、19世紀のイギリスの経済学者、ロバート・マルサスと言う人物が、
あらわした「人口論」という著書にもとづいています。
「北斗の拳」では、確かに人類は、飢餓と疫病(と戦争)に苦しんでいましたが、
マルサスの結論は、本当に正しかったのでしょうか?
Outdoor Exhibition / d'n'c
人口論「半分ハズレ」のワケ
マルサスの「予言」に対する答えは、「半分ハズレ」で、「半分あたり」と言うのが、
現代のミクロ経済学上の評価です。
「半分ハズレ」というのは、直感的に分かると思います。
というのは、マルサスよりもずっと後に生まれた管理人も、
当ブログを読んでくださっている読者の方も、今もって生き残っているからです。
19世紀の世界と、21世紀の世界と比べて、人口は飛躍的に増加しています。
では、なぜマルサスは、結論を「ハズして」しまったのでしょうか?
ちなみに、マルサスは「人口論」という名前の本を出版するぐらいで、
今もって人口研究に関する権威です。
東京大学図書館 / 柏翰 / ポーハン / POHAN
人口論「半分あたり」のワケ
それでは、「半分あたり」について、現代の経済学者に、「ご説明」を願いましょう。
"おそらく18世紀のフランス農民たちがピラミッド時代のエジプト農民よりも良い暮らしをしていたということではない。だが18世紀以降の技術進歩が、あまりにも急速だったために、収穫逓減が引き起こす問題を打ち消してしまったのだ"
ポール・クルーグマン「クルーグマンミクロ経済学」東洋経済新報社(P221)
クルーグマンの説明を補足すると、以下のようになります。
18世紀になって人間が、紀元前のピラミッド時代に生きた人間よりも、ぜいたくなものを
たくさん食べはじめて、人口増加の危機が叫ばれたわけではありません。
紀元前から18世紀までの「ゆくっりとした」農業技術の進歩では、
いずれ、食糧の増産が、人口の増加に追いつかなくなるということが、マルサスの予想でした。
ただ、18世紀以降の農業の技術進歩が、
マルサスの人口増加の予想をはるかに超えるものであったため、
限界収穫逓減の法則による食糧不足の問題を、解消してしまったのです。
CIMG1953 / max.takaki
次回では、技術進歩が打ち消した限界収穫逓減の法則について考えてみましょう。
経済学は、単なる「陰鬱な科学」ではありません!!!
(つづく)
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