おちゃらけミクロ経済学: 機会費用
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2013年2月27日水曜日

利潤ゼロでも事業を続けるワケ その3

真の意思決定は経済利潤にもとづく




さて、ねねさんのネットカフェ事業で利潤を見ていると、
会計利潤経済利潤の2種類があることが分かりました。


  • 会計利潤 = 収入-「目に見える費用」
  • 経済利潤 = 収入-(「目に見える費用」+「目に見えない費用」)


経済利潤の計算式にある、「目に見えない費用」とは機会費用ともいわれます。
機会費用とはその事業のための資源(資本や労働力)を、何か他の用途に使ったときに、
得られた収入を指します。



また、経済利潤は、収入から2種類の費用を差し引くため、
おのずと会計利潤よりも小さくなります。従って両者は次のような関係になります。


  • 会計利潤 > 経済利潤



会計利潤

Finance / Alan Cleaver




会計利潤プラス、経済利潤ゼロ




このように仮に経済利潤がゼロであっても、会計利潤はゼロよりも大きくなります。
ねねさんが委託している会計士は、帳簿に記された「目に見える費用」を計算し、
事業は黒字であることを報告します。


「目に見える費用」と会計利潤


「目に見える費用」と会計利潤



しかし、事業を続けるかどうか最終的に意思決定するのは、ねねさん自身です。
「事業を続けるために、雇われたときにあきらめなければならい給料はいくらだろう?」
仮にその給料を400万円と見積もった場合、経済利潤はゼロとなります。



「目に見えない費用」と経済利潤



「目に見える費用」と会計利潤



利潤とは経済利潤のこと




経済利潤がゼロであるということは、ねねさんにとっては、
「事業を続けても、他の人に雇われても同じ」ということになります。



経済利潤を算定する上で、他に何かの機会費用を見積もれば結論は異なります。
しかし、事業続行の費用と他人からの給料を天秤にかけた限りでは、
ねねさんが、積極的に事業をやめるという理由はなくなります。



これが、「利潤がゼロ」でも事業は続ける、という意味になります。
ミクロ経済学において、利潤というと特に断りがなければ、経済利潤を指します。
(「利潤ゼロでも事業を続けるワケ」シリーズ終わり)




2013年2月26日火曜日

利潤ゼロでも事業を続けるワケ その2

会計利潤と経済利潤と機会費用



企業活動の最大の目的は利潤の最大化なのに、「利潤がゼロ」でも
事業を続けるのはなぜでしょうか?もちろん、「社会的公器」であるとか、
「世のため人のため」という感じに道徳論で、説明を付けられるかもしれません。



ですが、ミクロ経済学の完全競争理論の範囲内で、
「利潤がゼロ」でも、企業が活動を続けていく理由を説明することが可能です。
簡単な例を用いて考えていきましょう。キーワードは次の3つです。


  1. 会計利潤
  2. 経済利潤
  3. 機会費用



費用

Personal Finance / 401(K) 2013



「目に見える費用」と会計利潤




ねねさんは、昨年、知り合いからおカネを投資してもらい、
駅前の貸しビル内で、ネットカフェを開店しました。



そして1年後の現在、昨年の会計収支について知り合いの税理士さんに、
次のように報告してもらいました。


「目に見える費用」と会計利潤



「目に見える費用」と会計利潤



1年目400万円のプラスです。つまり、会計利潤が発生している状態です。
これならば、おカネを投資してもらった知り合いに大しても面目躍如です。



「目に見えない費用」と経済利潤




ところが、人間の心理とは一筋縄ではいかないものです。ねねさんには、気になる点があります。
「自分がこの期間誰かに雇われていたら、いくら給与を支払ってもらえただろうか?」


ねねさんのネットカフェには、ねねさん自身の労働力が投入されています。
もし、ねねさんがネットカフェの事業主ではなく、誰かの従業員として働けば、
得られていた給与があります。



これは、実際に発生した費用ではなく、「目には見えない費用」で、
機会費用とも言われています。その機会費用も考慮すると、経済利潤はゼロになっています。



「目に見えない費用」と経済利潤


「目に見えない費用」と経済利潤



(つづく)




















2013年2月25日月曜日

利潤ゼロでも事業を続けるワケ その1

2種類の利潤と費用



完全競争市場において、企業は2段階の意思決定を経て生産活動を行います。


  1. 生産するかどうか?
  2. いくら生産を行うか?


この2つの意思決定を具体的にいうと、次のような表現になります。


  1. 市場価格が最小の平均総費用より高いか?
  2. 追加的な収入と追加的な費用を一致する生産量はいくらか?


作図で表すと次のようになります。この図は企業の「利潤がゼロ」の状態を表しています。




2種類の意思決定



2種類の意思決定



経済利潤と会計利潤




ところで、企業の「利潤がゼロ」と聞いて、管理人は疑問に感じることがあります。
企業活動の最大の目的は利潤の最大化なのに、なぜ「利潤がゼロ」でも事業を行うのか?
ということです。





DAXspace / DAXKO



利潤と一口にいっても、ミクロ経済学では、実は2種類の利潤に分けられることができます。


  1. 会計利潤・・・収入から「目に見える費用」を差し引いたもの
  2. 経済利潤・・・収入から「目に見える費用」と「目に見えない費用」を差し引いたもの


経済利潤は2種類の費用を差し引いているので、会計利潤より小さくなります。



会計利潤と経済利潤



会計利潤と経済利潤



「目に見える費用」と「目に見えない費用」




それでは、この2種類の費用とは、具体的には何を指すのでしょうか?
主に次のように定義されます。


  1. 「目に見える費用」・・・金銭的支出及び減価償却費
  2. 「目に見えない費用」・・・機会費用


まず、企業活動を行うと、原材料の購入また従業員への給料の支払いや、
価値が少なくっていく設備に対する手当など金銭的な費用が伴います。
これが「目に見える費用」です。



加えてそれらの資源を、今行っている以外の他の用途に使用した場合に、
得られたであろう収入を放棄した分についても、費用として発生します。
これが「目に見えない費用」です。


言葉による説明だけでは、分かりづらいので、次回では表を交えて説明していきましょう。
(つづく)




【関連エントリ】


完全競争市場 利潤のための意思決定 その1






2012年10月3日水曜日

比較優位の含意

比較優位のポイントは3つ




前回のブログで、絶対優位と比較優位の考えについてご説明いたしました。
今回は、後者の比較優位の含意を考えてみましょう。ポイントは3つです。
1つずつ解説していきましょう。



比較優位と機会費用を考えてみよう


1つ目のポイント



  • 「2人が、得意分野の生産に特化すれば、経済の総生産が増加する」

これは、当ブログの愛読者(?)の方であれば、もうすでにご存じでしょう(笑)
こちらは、前回前々回のブログをご参考ください。



2つ目のポイント



  • 「それぞれが、2つの財について、異なる機会費用を持つ限り、誰でも何かの財について、比較優位をもち、何かの財について、比較劣位をもつ」


抽象的な言葉を並べましたが、
要は、算数の時間で習った、「分数の逆数」を思い出してください。
ロビンソン、吉之助ともに、魚とバナナの機会費用は、ちょうど逆数の関係にあります。




【2人の機会費用の交換レート】


ロビンソン:バナナ3/4房⇔魚4/3匹
吉之助:バナナ2房⇔魚1/2匹



比較優位は逆数の関係


比較優位は逆数の関係




ロビンソンは、魚捕りについては、「名人」だといえますが、バナナの収穫は、「下手くそ」です。
逆に、吉之助は、魚捕りについてについては、「下手くそ」ですが、バナナの収穫は、「名人」です。
両者ともに捕まえた魚の数や、収穫したバナナの本数そのものを、
比較しているわけではありません。





3つ目のポイント



  • 「比較優位の概念は、漂流者だけでなく、国際間の交易にも拡張できる」



比較優位の概念が、絶海の小島のみで適用できるアイデアであれば、
単なる空想上のアイデアです。しかし、実際には国際間での、
貿易の原因と効果をかんがえるための、分析ツールとなります。





ちなみに、3つ目の含意の中で、管理人が強調したい部分は、3番目のポイントです。
当ブログで紹介したアダム・スミスが、「アイデア」を考え、
デービット・リカードという人物が、自分の国会議員としての活動に活かしました。









そういうわけなんで、今度は、比較優位の前提となる、
自由貿易についてブログを書いてみることにしようっと。
(「比較優位」シリーズ終わり)




2012年10月1日月曜日

比較優位と機会費用

比較優位をグラフで表してみよう




絶海の小島の漂流してきた2人が、魚捕りやバナナ集めについて、
それぞれの得意分野に特化して、取引をすると利益が生じます前回のブログ)。
前回は、で説明しましたが、今回は関数のグラフとして表現してみましょう。






グラフの違いをよく見てみよう!




取引後のロビンソンの食料確保量と消費量



取引後のロビンソンの食料確保量と消費量



取引後の拡張した吉之助の食料確保量と消費量


取引後の拡張した吉之助の食料確保量と消費量



2人とも食料確保量と消費量が右側に拡張しています。
これを「取引による利益」と丸めた説明で終えることも可能です。
しかし、それでは当ブログを書いている管理人自身が、モヤモヤ感を残してしまいます。


絶対優位と比較優位



ここで、絶対優位比較優位の違いについて考えてみましょう。



絶対優位

(単なる数量勝負なら コチラ !)


◆ロビンソン
バナナの収穫も魚捕りも、吉之助よりたくさんの量を確保できる。


◆吉之助
バナナの収穫も魚捕りも、ロビンソンよ少ない量しか確保できない。


●魚捕りについて
ロビンソンの最大確保量は、80匹。吉之助の最大確保量は40匹。


●バナナの収穫について
ロビンソンの最大確保量は、60房。吉之助の最大確保量は40房。



【絶対優位による結論】
ロビンソンは、バナナの収穫も魚捕りも、「絶対優位」にある。
吉之助は、バナナの収穫も魚捕りも、「絶対劣位」にある。



比較優位

(取引利益を得るならコチラ!)


◆ロビンソン
魚1匹を捕まえるために、バナナ3/4房をあきらめなければ(支払わなければ)ならない。
バナナ1房を収穫するために、魚を4/3匹あきらめなければ(支払わなければ)ならない。


◆吉之助
魚1匹を捕まえるために、バナナ2房を(支払わなければ)ならない。
バナナ1房を収穫するために、魚を1/2匹あきらめなければ(支払わなければ)ならない。


●魚捕りについて
魚1匹を得るために、ロビンソンの方が費用効果が良い。
あきらめなければならないバナナは3/4房で、吉之助の2房と比べて、費用が少なく済む。


●バナナの収穫について
バナナ1房を得るために、吉之助の方が費用効果が良い。
あきらめなければならない魚は1/2匹で、ロビンソンの4/3匹と比べて、費用が少なく済む。



【比較優位による結論】
ロビンソンは、魚捕りについて、吉之助と比べ、比較優位にある。
吉之助は、バナナの収穫について、ロビンソンと比べて、比較優位にある。



比較優位と機会費用について




比較優位の考え方を用いるとき、機会費用という概念が登場します。
これは、次の考え方にもとづいています。




「一方の食料を、一定量確保するために、もう一方の食料確保をどれぐらい
あきらめなけれればいけないか」





「比較優位」では、「機会費用」による費用効果を比較し、
ある一方の財の生産するために、犠牲にするもう一方の財をより少なくできることを
「優れている」と表現します。





(比較優位~バナナと魚の機会費用)






このように、両者がある財について、
「比較優位をもつとき、取引による利益が発生する」と言います。
(つづく)



2012年9月29日土曜日

比較優位と取引利益

1人で暮らすべきか?一緒に暮らすべきか?




前回のブログで示した、絶海の小島に漂流してきた、
2人の食料の調達状況を、再度確認してみましょう。




食料の確保量と消費量






この表を見る限り、ロビンソンは、吉之助と一緒に暮らすよりも、
1人で暮らしていた方が、絶海の小島でサバイバルできそうです。




ロビンソンにとってみれば、その方がバナナも魚もたくさん確保することができます。
わざわざ、吉之助と分け合わなくても、より多くの食料が確保できそうだからです。




しかし、経済学的な見地からすると、
ロビンソンは、吉之助と暮らした方が、より多くの利益を得ることができます。



経済学的な見地




集めるだけでなく取引することを考えてみましょう



冒頭で触れた表を拡張してみましょう。加える条件は2つです。




  1. 「食料集めは、魚とバナナのどちらか得意な方に特化する」
  2. 「食べきれない食料は取引する」


食料の確保量と消費量(取引した場合)



食料の確保量と消費量



取引による利益の説明




ロビンソン(魚捕り→×バナナの収穫→○)





80匹が最大確保量となり、うち56は従前通り自分で食べる。
20  は吉之助に渡す。4 は利益分とする。(80-56-20=4


  • バナナ


自分では確保せず、吉之助からバナナ20房をもらう。
18房を自分で食べて、2房は利益分 とする。(0+20-18=2



吉之助(魚捕り→×バナナの収穫→○)





自分では確保せず、ロビンソン から魚20匹をもらう。
12匹を自分で食べて、8匹利益分 とする。(0+20-18=8


  • バナナ

40 房が最大確保量となり、従前通り16房は自分で食べる。20房は吉之助に渡す。
4房は利益分 する。(40-16-20=4



機会費用と比較優位



ここで重要なポイントは、2人が、得意分野の食料を、取引していることです。
取引をすることによって、従前の量よりも、多くの食料を確保ていることです。
これを取引による利益といいます。




この一連の現象について、経済学的に丸めてみると、次のような表現になります。
「ある個人にとって、ある財の機会費用が他の人びとより低いとき、
その人はその財に比較優位を持つ」。

(つづく)