短期は「不自然」、長期は「自然」
前回のブログでは時間の観点から、短期と長期の市場供給曲線の特徴について述べました。
ここで2つの供給曲線を合わせて、特徴を比較をしてみましょう。
短期と長期の供給曲線
- 短期→傾きが大きい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が大きい
- 長期→傾きが小さい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が小さい
つまり、自由参入と自由退出の性質を備えた完全競争市場では、
時間の経過とともに、財・サービスの生産量が、伸縮しやすくなるとも言えます。
雪のため通行止め Road Closed Due to Heavy Snow / Yuya Sekiguchi
参入規制は供給の硬直化をもたらす
前々回のブログでは、参入規制の観点から「参入規制あり」と
「参入規制なし」の市場供給曲線の特徴について述べました。
ここでも2つの供給曲線を合わせて、特徴を比較をしてみましょう。
参入規制ありと参入規制なしの供給曲線
- 「参入規制あり」→傾きが大きい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が大きい
- 「参入規制なし」→傾きが小さい→生産量の伸びに対して価格の上昇幅が小さい
つまり、自由参入と自由退出の性質を備えた完全競争市場では、
参入規制の有無で、財・サービスの生産量の伸縮が変わると言えます。
「不自然な状態」と「自然な状態」
前々回、前回のブログと合わせると、管理人は次のような印象を感じます。
ここから下の記述は、標準的なテキストには載っていない、管理人独自の考えです。
- 短期=「参入規制あり」→「不自然」
- 長期=「参入規制なし」→「自然」
短期と言われるのは、設備などの固定費用が、文字通り「固定化」されるためですが、
実際には、商売を2年3年と続けていくと、設備も可変費用として「変動化」します。
いつまでも使えない設備を据え置きのまま、というのは、ちょっと考えづらいです…。
「商売あがったり」になるのは目に見えています。使えない設備を据え置きにしておく
ような事業は、撤退するだろうし。
そういわけなんで「設備の固定化」で、短期=「参入規制あり」という状態は、
非常に「不自然」に見えるわけです。もっとも、パソコンのモデルチェンジのように
「半年」ぐらいの期間であれば、それは短期のような気もしますが。
(完全競争市場 自由参入と自由退出シリーズ終わり」)
【参考文献】
八田達夫
ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)
東洋経済新報社
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