撤退の目安は最小可変費用で
前回のブログでは、コーヒースタンドの店を運営する光秀くんが、
- コーヒーの市場価格 < 193円(損益分岐価格) → 損失を被る
という事態に陥ったとき、どのような意思決定をするべきかを考えてみました。
仮にコーヒーの価格が、「大暴落」して155円になったと想定しています。
このとき、光秀くんは店舗運営を辞めるべきでしょうか?いいえ。辞めるべきではありません。
なぜなら、市場価格は、193円(損益分岐価格)を下回っているものの、
最小平均可変費用(AVC)を、まだ上回っているからです。
光秀くん・コーヒースタンドの費用(6)
市場価格で可変費用を回収できるか?
上の表で注目すべき点は、販売量が200杯のときです。
このときの平均可変費用(AVC)は、もっとも小さく150円になっています。
固定費用が埋没費用(サンクコスト)となる、
市場価格(P) =限界収入(MR)の155円と、最小平均可変費用の150円を比較すると、
前者の方が、まだ上回っています。
従って、「続けるかどうか?」という意思決定については、「続けるべき」という結論が出されます。
スターバックス / yto
損失を最小限にするのも意思決定
「続ける」以上、次に「どれぐらい販売するか?」という意思決定をする必要があります。
このとき、比較するのは、市場価格(P) =限界収入(MR)と限界費用(MC)です。
完全競争市場の最適生産量ルールに則ると、両者が交差する、
200~300杯の量まで販売することによって、損失を最小化することができます。
コーヒーを販売することによって、コーヒー豆やカップなどの可変費用を回収し、
なおかつ、埋没費用と思われた固定費用が、少しでも取り返せるからです。
(あくまで
光秀くん・コーヒースタンドの費用(7)
撤退の意思決定を行う水準・操業停止価格
それでは、もしコーヒーの「大暴落」が続いたとして、
市場価格が、どの水準になるまで店を続けるべきでしょうか?
それは、やはり平均可変費用(AVC)の価格に注目します。
光秀くんの場合、150円が最小の価格となりますので、
市場価格が、その価格を下回れば、店舗運営をやめるべきとなります。
このときの150円は、コーヒーを販売した場合のコーヒー豆やカップなどの
可変費用すらも回収できない価格です。
俗にいう「売れば売るほど赤字が出る」という状況です。
この価格は、操業停止価格とも呼ばれます。
(完全競争市場 利潤のための意思決定」おわり)
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