「もしもボックス」を出してもらいましょう
今回は、前回のブログのつづきものです。
ドラえもんのひみつ道具である「もしもボックス」を借りてみます。
労働供給曲線が垂直な状態で、
「もしも、ベーシックインカムが導入されたら?」という実験を行ってみましょう。
ベーシックインカムとは?
まず、ベーシックインカムの定義は、以下の通りです。
"交付にあたって資力調査や就労要件がない、無条件で全員に対して 個人単位で交付される所得のこと"
新田ヒカル・星飛雄馬「やさしいベーシックインカム」サンガ P109より引用
つまりベーシックインカムとは、人間が生存するための必要最低限の所得を
国民全員に対し、一律に支給する制度のことです。
「もしもボックス」でベーシックインカムを導入し、
ミクロ経済学的な観察をすると、労働供給曲線の傾きがより水平に近くなるか、
と推測されます。
水平な労働供給曲線
ベーシックインカムのメリット
それでは、この曲線の特徴と労働供給曲線が垂直となる理由を考えてみましょう。
(労働供給曲線が水平であることの特徴)
- 労働者は、労働時間を減らすことが容易になる。
- 企業にとって、労働者を整理解雇することが、容易になる。
- 労働者の労働移動が、容易になり、産業の発達が促進される可能性がある。
労働供給曲線が、「水平」になるということは、
仮に、労働需要が左シフト(雇用量が減少)しても、賃金は下がりにくなる、ということです。
労働者は、教育訓練や家庭生活に従事するために、
労働時間の短縮や、転職を行ったとしても、賃金が減少する割合が、小さくなります。
そのため、企業も整理解雇をしやすくなり、新しい産業に、労働力が移動しやすくなります。
水平な労働供給曲線に対して左シフトした需要曲線
それでは、ベーシックインカムを導入すると、労働供給曲線の傾きが、水平に近づくのでしょうか?
管理人は、最低限度の生活費支給による「心理的効果」を、理由としてあげます。
要は、「仕事がなくても食うには困らん」という、精神的余裕が発生する、と考えています。
所得補填はベーシックインカムの真の狙いではない
他に、労働供給曲線が水平に近づく理由として、
ベーシックインカムによって、所得が補填されるから、という理由も考えられるかもしれません。
確かに、これによって、労働供給曲線の上方にシフトすることは、考えられます。
水平な労働供給曲線の上方シフト
しかし、(賃金+ベーシックインカムの支給で)曲線がシフトしているというだけで、
傾きそのものをを変える、ということはできません。
そもそも賃金は、企業が支給するものであり、社会保障給付の一種である
ベーシックインカムを、労働市場の価格に、「下駄をはかせる」と考えるには、
少々無理があるように思います。
(つづく)
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