おちゃらけミクロ経済学: 労働供給曲線
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2013年5月2日木曜日

ブラック労働をするか否か その8

供給曲線の原理原則とは?




前回のブログで、「賃金率が下落した場合」という仮定の下、余暇時間や労働時間が
どう変化するかについて、考えてみました。



賃金率とひとくちに言っても、属している産業や企業、
また雇用形態などによって、まちまちです。





Welcome To Unemployment / Andres Rueda



自分の頭で考え続けよう





ただ、大切なことは賃金が下落(上昇)しても、反応が一つだけなのではない、
というところです。自分の置かれている状況や選好によっては、余暇時間や労働時間を
増減させることは、ごく「自然の流れ」であることです。



別の言葉で言いかえると、



  • 「皆がそうしているから」
  • 「周りがそう言うから」



という理由だけで、思考停止に陥ると、やぶにらみの状態に
走ってしまう可能性があるということです。




必ずしも右上がりの曲線とは限らない労働供給曲線





下の図は、一般的な財と労働サービスの供給曲線の比較です。
一般的な財は、ただ右上がりの曲線です。



それに対して、労働サービスの曲線は、右上がりでもあり、左上がりでもある曲線です。
(これを後方屈曲的な個別労働供給曲線と言う)




後方屈曲的な労働供給曲線





後方屈曲的な労働供給曲線





一般的な財は、価格が下がれば、供給量も減少しますが、
労働サービスの場合は、賃金率が下がれば、
必ずしも労働時間が増えるというわけではありません。



「増えるかもしれないし、減るかもしれない。
その人の賃金率や選好による」というのが答えでしょう。



このように、一般的な財と労働サービスの供給は異なるということを、
どこか知識としておけば、ブラック企業やブラック労働の対策に、
役立てることがあるかもしれません。
(つづく)







2013年5月1日水曜日

ブラック労働をするか否か その7

賃金率が下落したときの代替効果と所得効果




ここ数年のはたらく人のお給料の趨勢を見ていると、こんな感じです↓



年収ラボ
国税庁







個別には増えている人もいると思いますが、
全体として賃金が下落しているので、労働時間が一定とすれば、こんな状態が仮定できます。



賃金率の下落






ということは、賃金率下落の効果として2つのパターンが考えられます。
もともと、賃金率が低くて、賃金率が下落したパターンと、
もともと、賃金率が高くて、賃金率が下落したパターンです。





Salaryman / Yuya Tamai





賃金率が低い人の賃金率下落





代替効果が強くなる→余暇時間の増加→労働時間の減少



代替効果が強いときの変化





賃金率が高い人の賃金率下落





所得効果が強くなる→余暇時間の増加→労働時間の減少



所得効果が強いときの変化






(つづく)





2013年4月26日金曜日

ブラック労働をするか否か その6

後方屈曲的な労働供給曲線について



前回のブログでは、賃金率が上昇したときに、
賃金と余暇の選択は、どのように変化するかを説明しました。



賃金率が低い水準にあるとき代替効果が強く、
余暇時間は減少する
(労働時間は増加する)。



代替効果が強いときの変化






賃金率が高い水準にあるとき所得効果が強く、
余暇時間は増加する
(労働時間は減少する)。



所得効果が強いときの変化







一般的な供給曲線とは異なる労働供給曲線




上記の関係を賃金率と労働時間の関係だけにしぼって言うと、
次のような表現になります。


  • 賃金率が低いときの賃金率上昇→労働時間は増加する
  • 賃金率が高いときの賃金率上昇→労働時間は減少する


さらに文章ではなく、作図で表現すると、後方屈曲的な労働供給曲線が出来上がります。
賃金率を縦軸、労働時間を横軸に取ります。




後方屈曲的な労働供給曲線



後方屈曲的な労働供給曲線





(つづく)

2013年4月25日木曜日

ブラック労働をするか否か その5

賃金率上昇の代替効果と所得効果について




ブラック労働をするか否かその3では、ビールとピーナッツの関係において、
「ビールの価格が下がった場合」、それぞれの消費数量が、どうなるかを説明しました。



(ビール)

  • 代替効果→消費量は増加する。ピーナッツと比較して相対的に安くなるため
  • 所得効果→消費量が増加する。価格そのものが安くり、消費者の購買力が上がりため
  • 総効果→消費量は必ず増加する



(ピーナッツ)

  • 代替効果→消費量は減少する。ビールと比較して相対的に高くなるため
  • 所得効果→消費量が増える。ビールの価格が安くなったことにより、購買力が上がるため
  • 総効果→消費量の増減は分からない。代替効果と所得効果のどちらが強いかによる





RIMG0222 / vaboo.com



予算制約線を外側に回転





ビールとピーナッツの関係において、「ビールの価格が下がった場合」というのは
作図をすると下の図のようになります。予算制約線が外側に回転します。



ビールの価格が下がった時の代替効果









賃金と余暇の関係において、この図と同じ状態にするためには、
「賃金率が上昇した場合」と置き換えることができます。



賃金率が上昇したときの代替効果






代替効果と所得効果のどちらが強いか?





賃金が上昇したときに注目すべき点は、果たして余暇が増加するか、減少するかということです。
代替効果と所得効果のどちらが強いかによって、反応は異なります。



代替効果が強ければ、余暇時間は減少します。
賃金率が低い水準にあるとき、代替効果が強いといわれています。



代替効果が強いときの変化









所得効果が強ければ、余暇時時間は増加します。
賃金率が高い水準にあるとき、所得効果が強いといわれています。




所得効果が強いときの変化






(つづく)

2013年4月1日月曜日

ブラック企業における限界効用 その4

一般的な原理・最適消費のルール




前回のブログでは、労働者が1日を過ごすときに、
労働(賃金を得る行動)と余暇にどれぐらい時間配分をすれば良いか?
ということについて、お話をしました。



そのときに必要な考え方が、1時間あたりの限界効用という考え方です。





時間列車 / dorahon





賃金と余暇で最大の満足度を得るためには





賃金と余暇について、1時間あたりの限界効用を数式で表すと次のようになります。



  • 賃金の限界効用 / 時間 = MUw / Hw
  • 余暇の限界効用 / 時間 = MUv / Hv  



ただし、MU:限界効用 H:時間 w:賃金 v:余暇



そして、1日24時間という限られた制約の中で、労働者が最大の満足度得るためには、
次の式を成立させなければなりません。



  • MUw / Hw = MUv / Hv (賃金の限界効用 / 時間 = 余暇の限界効用 / 時間)



最適消費ルール





賃金と余暇の限界効用を等しくし、最大の満足を得るという考え方は、
ミクロ経済学の最適消費ルールとして、一般的な原理を表すものです。



消費者が予算制約に直面しつつ、効用(主観的な満足度)を最大化しているなら、
消費の組み合わせに含まれるそれぞれの財・サービスの1単位あたり(1時間、1円)の
限界効用は、同じになるということです。



経済学的にブラック企業を説明しようとすると、
1時間あたりの限界効用や最適消費ルールについて、理解する必要があります。
(「ブラック企業における限界効用」シリーズ終わり)






2013年3月31日日曜日

ブラック企業における限界効用 その3

労働と余暇をどのように配分するか



前回のブログでは、1時間あたり(1円あたり)の限界効用のお話をしました。
なぜ、こんな話をしているか?



それは、賃金と余暇の異なるサービスの消費について単位をそろえて、
最大の満足度を得るためです。そうすると、ブラック企業の考察ができそう気がします。






Summer vacation 2011 friends and family / kevin dooley





1時間あたりの限界効用





1時間あたり(1円あたり)の限界効用を数式で表してみましょう。



  • 賃金の限界効用 / 時間 = MUw / Hw
  • 余暇の限界効用 / 時間 = MUv / Hv  


ただし、MU:限界効用 H:時間 w:賃金 v:余暇



 

「賃金」も「余暇」もほどほどに





労働供給の分析では、賃金も余暇も多い方が、労働者の満足は高くなります。
作図で言えば、賃金はw1よりもw2の方が、余暇はv1よりもv2の方が、それぞれ
満足度は高くなります。



時間配分予算制約線







といっても、1日は24時間しかありません。「24時間ずっと働く」とか、
「24時間余暇だけを取る」とか、極端なことはできません(少なくとも長期的には)。



時間配分予算制約線(2)







すると、予算制約線の「ほどほど」のところで、労働と余暇に配分する必要があります。
この「ほどほど」を決めるために、1時間あたりの限界効用の考え方を使えることができます。
(つづく)






2013年3月26日火曜日

ブラック企業における限界効用 その2

「ものさし」を合わせておきましょう




今回は、労働をして賃金を得る満足感と、休息をして得る余暇を満足感をどうやって
比較するのかというお話です(前回のブログはコチラ)



労働と休息というまったく異なる体験の消費を比べるためには、
単位をそろえて考える必要があります。





Camp'Otel Family Vacation / Librarygroover





1時間あたり・1円当たり




タイトルで「限界効用」という専門用語を使っています。
この用語について経済学のテキストを読んでいると、
時間やお金の単位を使ってよく次のように表現されています。


  • 1時間あたりの限界効用
  • 1円当たりの限界効用


注目すべき点は、「1時間あたり」、「1円あたり」とつけているところです。




異なる「ものさし」でははかれません!



  • 賃金と余暇
  • ごはんとお肉



これらは、形状も量も異なります。お米の単位(石やキロ)と肉の単位(ポンド)を
そのまま比べても仕方がないのと同じように、賃金と余暇をそのまま比較しても
意味がありません。



効用(主観的な満足度)をはかりやすくするためには、
まず時間やお金で単位を揃えます。



ブラック企業というと何かと人それぞれの感情が入り乱れます。
ですが、冷静に対処するためには、ほかの人と合わせやすい「ものさし」を用いる必要があります。
(つづく)








2013年3月25日月曜日

ブラック企業における限界効用 その1

賃金と余暇のトレードオフについて



前回のブログで、こんな供給曲線を作成しました。
ミクロ経済学の用語を使うと、後方屈曲的な労働供給曲線といいます。



後方屈曲的な労働供給曲線



後方屈曲的な労働供給曲線




今回は、曲線そのものではなく、軸についてのお話をしましょう。
(赤色の枠で囲った部分について)


後方屈曲的な労働供給曲線 軸の見方



後方屈曲的な労働供給曲線




軸のみかた~労働時間と賃金率





一般的な財・サービスの供給曲線の軸を見ると、次のようになっています。



  • 横軸→生産量
  • 縦軸→価格



これを、労働供給曲線に読み替えると、次のようになります。



  • 横軸→労働時間または余暇時間
  • 縦軸→賃金率




時間は稀少な資源である





労働供給曲線の分析(ブラック企業の分析)をするためには、
まず1日24時間という時間は、「稀少な資源」であるという前提に立ちます。



その「稀少な資源」である時間について、



  • 労働にあて賃金を得るか?
  • 休息にあて余暇を得るか?



トレードオフの関係としてとらえ、労働供給曲線の分析を単純化します。



後方屈曲的な労働供給曲線 軸の名前


後方屈曲的な労働供給曲線 軸の名前




ただ、労働をして賃金を得る満足感と、休息をして得る満足感は、
どうやって比較するんでしょうか?
(つづく)




2013年3月24日日曜日

ブラック企業を分析するためには? その2

ブラック企業のための基礎用語




何かと話題のブラック企業について「何か」書きたいと考えていたら、
後方屈曲的な労働供給曲線に出会いました。作図するとこんな感じです。



後方屈曲的な労働供給曲線








ブラック企業とひと口にいって、色々な思いが乱れ飛んでいるせいか、
定義はイマイチはっきりしません。



ならば、後方屈曲的な労働供給曲線や、賃金と余暇の時間配分を使って
うまく説明はできないか?と考えた次第です。






Wage request publicity, 1968 / Seattle Municipal Archives





応用問題(ブラック企業)は単純なモデルに置き換える





ブラック企業のような旬な(?)話題をミクロ経済学の知見を使って
分析や議論すると、次のようなメリットがあると思います。


  • 複雑な内容を単純なモデルに置き換えられる
  • 他の人と話を合わせやすい



「事態はもっと複雑だ!」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、
複雑な事項は、「単純なモデル」の上に成り立っている話です。
応用的な話の前に、まずモデルです。



分析のために必要なツール





要は、ブラック企業を単純な経済学モデルに落とし込んでみようという試みです。
ただそのためには、後方屈曲的な労働供給曲線だけでは、理解が進みません。



管理人が個人的に調べてみたところ、


  • 1時間あたりの限界効用
  • 代替効果と所得効果
  • 無差別曲線


といった分析ツールについて、知っておく必要があります。
とりあえず次回からは、1時間あたりの限界効用について考えてみましょう。
(「ブラック企業を分析するためには?」シリーズ終わり)





2013年3月23日土曜日

ブラック企業を分析するためには? その1

話題のブラック企業をミクロ経済学で説明




ミクロ経済学では、ほとんどの財について供給曲線が、右上がりとなります。こんな感じです。



一般的な供給曲線



供給曲線



  • 価格が上昇すれば生産量は増加
  • 価格が下落すれば生産量は減少



ところが、労働サービスという財は、必ずしも右下がりの曲線にはなりません。



Labor union parade

Labor union parade, NY., May 1, 1911 (LOC) / The Library of Congres





途中で変わる労働供給曲線





一般的に、労働供給曲線は、次のような形状を取ると言われています。


  • ある一定のところまでは、右上がり→賃金率が上昇すれば、労働時間は長くなる




労働供給曲線(1)



労働供給曲線右上がり





  • ある一定のところからは、右下がり→賃金率が上昇すれば、労働時間は短くなる



労働供給曲線(2)








後方屈曲的な労働供給曲線





2つを合わせると、アルファベットの「U」を、左に転がしたような形が出来上がります。



後方屈曲的な労働供給曲線




後方屈曲的な労働供給曲線




この供給曲線を専門用語を使うと、後方屈曲的な労働供給曲線といいます。
この曲線を持ち出しただけでは、何かと話題のブラック企業について
ミクロ経済学的に、説明することはできません。



次回はブブラック企業を分析するためには、他にどんなツールが必要か、
説明していきましょう。
(つづく)




2012年10月20日土曜日

ベーシックインカムまとめ

ベーシックインカムのおさらい




前回、前々回とベーシックインカムの話を振ってみました。


  1. ドラえもんにお願いして、「もしもボックス」を出してもらう。
  2. 「もしもボックス」で「もしベーシックインカムが導入されたら?」というお願いをする。
  3. その後、労働市場における労働供給曲線を観察すると、傾きが、「垂直」から「水平」になる。


労働供給曲線が、「垂直」から「水平」になると、
労働量の減少のわりに労働の価格(賃金)の減少が小さくなります。
そのため、労働者にとっても、企業にとっても、フレキシブルな労働時間体系を、設定しやすくなります。




垂直な労働供給曲線に対して左シフトした労働需要曲線




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水平な労働供給曲線に対して左シフトした需要曲線



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つまり、何らかの事情(育児・介護・自身の教育訓練など)によって、
労働時間を短縮することについて、正のインセンティブが、働くことになります。



ベーシックインカムのデメリット




いいことづくめのように見える、ベーシックインカムですが、デメリットもいくつか考えられます。



1.実証研究や実例が少ない
「厚生労働省」「ベーシックインカム」などキーワードで、Google検索しても、
実証研究をしている例がない(2012年10月20日現在)



実例についても、管理人が聞き及ぶ限りで、導入されている国はデンマークのみです。
デンマークでは、18歳以上の国民全員に最低生活費が、支給されているそうです。



2.「自己責任」のルール
最低限度の生活費にも困る人が、何らかの理由で生活費以外のことに使って、なくしててしまうと、
それ以上のセーフティーネットによって救われることはなくなる。



3.「クビを切られても安心の社会」ということが前提
もし「クビを切られない社会のしくみ」が、機能している時、
ベーシックインカムの存在意義が、あいまいになる。



ベーシックインカムについて個人的見解




導入に是非のあるベーシックインカムですが、
個人的には、導入してほしいなぁ、と思います。



というのは、労働供給曲線が、水平になることによって、
労働の移動(転職、新規事業の立ち上げなど)が、容易になるからです。
そうなると、イヤイヤ仕事に就いていた人が、自分自身で考えた好きな仕事に
変えやすくなるからです。



そうしたら、サービスの受け手側(消費者側)にとって、
もっと、気持ちよくいろいろなサービスを受けられるようになるんじゃないかな?と思ったりもします。
(もちろん、お金が支給されて単純に嬉しいということもありますが)


好きな仕事であれば、すすんで問題点を解決し、
生産物の付加価値を高めるインセンティブを高められるのではないでしょうか?



そうなってくると「ドラえもん」にまたお願いして、
四次元ポケットから「ポータブル国会」というひみつ道具を出してほしいと思います(笑)




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Board of Public Works Meeting / MDGovpics




ドラえもんのひみつ道具:「ポータブル国会」


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ベーシックインカムおまけ


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ちなみに「ベーシックインカムが導入されたら働かない人が出る」という
デメリットも出てきそうですが、これはデメリットには、入らないと思います。



なぜなら、支給する最低生活費が、現在の金額(2012年10月)で、
5万円程度のものであれば、衣食住を維持するだけで精一杯で、
それ以上の消費(交際、娯楽など)を行うことは、かなり困難だからです。



人間の「見栄」を見たそうすれば、結局働かざるえない、ということになるのではないでしょうか?



(ベーシックインカム編終わり)




参考文献:
小飼 弾「働かざる者飢えるべからず」サンガ
新田ヒカル・星飛雄馬「やさしいベーシックインカム」サンガ
池田和明「利益力の源泉~いかに付加価値を創出するか」ダイヤモンド社



2012年10月17日水曜日

ベーシックインカムと「もしもボックス」

「もしもボックス」を出してもらいましょう




今回は、前回のブログのつづきものです。
ドラえもんのひみつ道具である「もしもボックス」を借りてみます。



労働供給曲線が垂直な状態で、
「もしも、ベーシックインカムが導入されたら?」という実験を行ってみましょう。



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ベーシックインカムとは?



まず、ベーシックインカムの定義は、以下の通りです。


"交付にあたって資力調査や就労要件がない、無条件で全員に対して 個人単位で交付される所得のこと"


新田ヒカル・星飛雄馬「やさしいベーシックインカム」サンガ P109より引用


つまりベーシックインカムとは、人間が生存するための必要最低限の所得を
国民全員に対し、一律に支給する制度
のことです。



「もしもボックス」でベーシックインカムを導入し、
ミクロ経済学的な観察をすると、労働供給曲線の傾きがより水平に近くなるか、
と推測されます。



水平な労働供給曲線




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ベーシックインカムのメリット



それでは、この曲線の特徴と労働供給曲線が垂直となる理由を考えてみましょう。



(労働供給曲線が水平であることの特徴)

  1. 労働者は、労働時間を減らすことが容易になる。
  2. 企業にとって、労働者を整理解雇することが、容易になる。
  3. 労働者の労働移動が、容易になり、産業の発達が促進される可能性がある。


労働供給曲線が、「水平」になるということは、
仮に、労働需要が左シフト(雇用量が減少)しても、賃金は下がりにくなる、ということです。



労働者は、教育訓練や家庭生活に従事するために、
労働時間の短縮や、転職を行ったとしても、賃金が減少する割合が、小さくなります。
そのため、企業も整理解雇をしやすくなり、新しい産業に、労働力が移動しやすくなります。



水平な労働供給曲線に対して左シフトした需要曲線




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それでは、ベーシックインカムを導入すると、労働供給曲線の傾きが、水平に近づくのでしょうか?
管理人は、最低限度の生活費支給による「心理的効果」を、理由としてあげます。
要は、「仕事がなくても食うには困らん」という、精神的余裕が発生する、と考えています。


所得補填はベーシックインカムの真の狙いではない



他に、労働供給曲線が水平に近づく理由として、
ベーシックインカムによって、所得が補填されるから、という理由も考えられるかもしれません。
確かに、これによって、労働供給曲線の上方にシフトすることは、考えられます。



水平な労働供給曲線の上方シフト





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しかし、(賃金+ベーシックインカムの支給で)曲線がシフトしているというだけで、
傾きそのものをを変える、ということはできません。



そもそも賃金は、企業が支給するものであり、社会保障給付の一種である
ベーシックインカムを、労働市場の価格に、「下駄をはかせる」と考えるには、
少々無理があるように思います。
(つづく)








2012年10月15日月曜日

ベーシックインカムとドラえもん

四次元ポケットから「もしもボックス」




「もし△△△が、●●●だったら?」
私たち人間は、ときどきこんなことを考えてしまいますね。



私は、人さまよりも過去にとらわれることが多いので、余計に強く考えてしまいます。
ですので、「ドラえもんがいてくれたら…」、「四次元ポケットがあったら…」
とか、よく考えてしまいます(笑)



そんなドラえもんのひみつ道具に、
「もしもボックス」というものがあります。
「もし△△△が、●●●だったら?」という仮想世界をつくりだす「実験装置」です。



おちゃらけミクロ経済学に「もしもボックス」を絡ませて記事を展開していきましょう。





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垂直な労働供給曲線の特徴



以前、当ブログで労働供給曲線が、「垂直」であることを紹介しました。
労働供給曲線が、「垂直」であることは、労働量の減少に対して、
労働の価格(賃金)の下がる割合が、大きいことを指します。
ちょうど下のような図の状態です。(参考ブログ:社会保険料と弾力性)



垂直な労働供給曲線



垂直な労働供給曲線





労働供給曲線が「垂直」であるとき、労働需要曲線(雇用)が、
左シフトすると、労働の価格(賃金)は、雇用量よりも大きく下落します。



垂直な労働供給曲線に対して左シフトした労働需要曲線




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垂直な労働供給曲線の問題点



この状態になると、いくつか考えなければならないことが発生します。



(労働供給曲線が垂直であることの問題点)


  1. 労働者は、労働時間を減らすことが難しくなる。
  2. 企業は、労働者を整理解雇をすることが難しくなる。
  3. 労働者の労働移動が、困難になり、産業の発達が阻害される。



特に、1の問題が、顕著です。
家庭の事情や、自らの教育訓練のために、労働時間を減らそうとすれば、
衣食住などの「基礎的な消費」を、脅かしてしまう場合があるからです。
そのため労働者は今の仕事にとどまり、企業もすすんで解雇などをしなくなります。
これを経済学では、「賃金の下方硬直性」とも言います。




それでは、ここで冒頭で紹介した「もしもボックス」の登場です。
この「賃金の下方硬直性」に挑戦してみましょう!



「もしも、労働供給曲線が垂直な状態で、ベーシックインカムが導入されたら?」
と、受話器に吹き込んでみます。



次回のブログでどんな世界になるか体験してみましょう(笑)
(つづく)


ところでベーシックインカムってなに(?_?)






参照ホームページ:
厚生労働省:平成14年版 労働経済の分析
一般労働者における賃金の下方硬直性