「傾き」があきらめの費用を表す
労働者は事業主からの雇用条件を受け、労働に関する自分の満足度を
最大化しようとします(前回のブログ)。そのことを作図で表すと、この通りになります。
無差別曲線と予算制約線
このとき無差別曲線(赤)の限界代替率と、予算制約線(青)の相対価格は等しいと言います。
今回のブログでは、限界代替率と相対価格の意味について触れてみます。
限界代替率とは?
限界代替率は無差別曲線の傾きのことで、効用(主観的な満足度)を維持するために、
余暇1時間を追加した場合に、賃金をどれぐらいあきらめなければならないかを示します。
無差別曲線
(特徴)
- 数式はMRS=MUw/MUvで表す
- 右下がり
- 傾きが常に変化
- 余暇が少ないとき(AB間)は傾きが急だが、多いとき(CD間)は傾きが緩やか
このうち3番目の特徴について、詳しく説明すると次のとおりになります。
- 余暇時間が少ないとき
疲れているので余計に休息を取ることは非常に貴重→多くの賃金を失うに値する
- 余暇時間が多いとき
疲れていないので余計に休息をとっても貴重ではない→引き換えにする賃金は少ない
相対価格とは
相対価格は予算制約線の傾きのことで、余暇で測った賃金の価格を表します。
予算制約線
(特徴)
- 数式はPw/Pvで表す
- 右下がり
- 傾きは一定
こちらは直線なので説明することは特にありません。
ブラック労働に陥らないための心得
これらの限界代替率と相対価格が等しいとき、
労働者は所与の条件(雇用条件)の中で最大の満足を得ることができます。
ブラック労働と言ってもそれなりの労働条件はあります。
(違法か合法かとか、明示的か暗示的かは別にして)
このように、労働者としての満足度を、どのように組み合わせるか考えておくことが、
ブラック労働に陥らないためのひとつの対策となるでしょう。
(「ブラック労働予防策」シリーズおわり」)
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