完全競争市場と独占市場と独占的市場
私たちは、何かモノを作って売ったり、サービスを販売するときには、
必ず、価値の尺度である、価格を決めなければなりません。
この価格を決めるという行為は、簡単そうに見えて、意外と難しいものです。
一般に、「適正な原価に適正な利潤をのせて価格をつける」と言います。
当たり前そうに見える答えですが、この方式では作り手の考え方しか、反映されていません。
「適正な原価に適正な利潤をのせて価格をつける」という価格の決め方は、
「積み上げ原価方式」とも言われます。ですが、この決定方式で価格を決められる
モノやサービスというものは、非常に限られています。
小樽ハイボール コーラ / yto
市場構造と価格決定権
それでは、具体的に、次の財やサービスの価格について、
生産者が、人為的に決められるかどうか考えてみましょう。
- 小麦・ガソリン・DRAMメモリ(半導体)
- 電気・都市ガス・上下水道
- コーラ・ハイブリッドカー・住宅
答えは以下の通りになります。
- 小麦・ガソリン・DRAMメモリ(半導体)→生産者が決められない
- 電気・都市ガス・上下水道→生産者が決められる
- コーラ・ハイブリッドカー・住宅→どちらとも言えない
結論から先に言うと、価格決定権について、財やサービスによって異なるのは、
財やサービスの市場構造(需要と供給のしくみ)が、異なるからです。
価格を決めずに利潤をあげる
具体例をあげた、財やサービスを市場構造で分けてみると、次のようになります。
- 小麦・ガソリン・DRAMメモリ(半導体)→完全競争市場
- 電気・都市ガス・上下水道→独占・寡占市場
- コーラ・ハイブリッドカー・住宅→独占的競争市場
このうち、冒頭にあげた「積み上げ原価方式」で、企業活動の目的である、
「利潤の最大化」を達成できるのは、独占・寡占市場で活動する企業だけです。
(もっとも単に作れば良い、というものでもありませんが)。
といって1の完全競争市場や3の独占的競争市場で、利潤をあげられない
というわけでもありません。
特に、1の完全競争市場では「自らは価格は決めない」という姿勢を
貫くことによって、利潤を得ることができます。
(つづく)
【参考文献】
菊池正典 半導体工場のすべて ダイヤモンド社
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