藤吉郎くん、「規模の経済」を働かせる
前回のブログで、商才のある藤吉郎くんは、
信長くんのソフトクリームビジネスの、2号店を店長として任されることになりました。
そこで、藤吉郎くんは、2号店でのソフトクリーム販売のために、
自ら仮説と需要予測を立て、設備(製造機や冷蔵庫など固定投入物)の購入をはじめました。
ところが、彼はその費用として、1号店で使った倍の金額を使い始めました。
長期的には、販売量(生産量)の販売量が見込めるとは言え、
なぜ彼は、固定投入物の購入を大きくしたのでしょうか?
もし、長期的に増加したときに、可変投入物(アルバイト従業員や牛乳など)を増やして、
対応すればよさそうに見えますが・・・。
※なお、藤吉郎くんは、現在のところ、2号店は1号店とほぼ同じ販売量(生産量)を
期待できると考えています。しかし1年後には(長期的には)「すぐ近くに、大学のキャンパスが
設置されて、1号店を上回る需要の増加が見込める」という仮説を立てています。
cafe terras / zoetnet
「低い固定費用」と「高い固定費用」
もちろん、藤吉郎くんは、のるか反るかの「大ばくち」を打っている訳ではありません。
「お客さん次第」の需要に対応できるよう、想定される需要の幅を広く取っています。
なおかつ、「低い固定費用」と「高い固定費用」の2通りのケースを考えて、
設備投資を行うことにしました。
「低い固定費用」と「高い固定費用」
藤吉郎くんが目を付けている、上の表のポイントは、
「低い固定費用」と「高い固定費用」の2種類に、場合分けをしていることです。
そして「低い固定費用」のときには、「高い可変費用」が対応し、
「高い固定費用」のときには、「低い可変費用」が対応しています。
特に注目すべきところは、従業員が1人のとき(ソフトクリームの生産量は220個)と、
2人のとき(ソフトクリームの生産量は400個)の平均総費用です。
「低い固定費用」 「高い固定費用」
1人のとき→→→ 131.82円(低) 134.09円
2人のとき→→→ 115.00円 95.00円(低)
従業員が、1人のときと2人以上のときでは、両者の平均総費用が逆転しています。
なぜ、このような現象が起こるのでしょうか?
規模の経済
実は、この表は次のように、読み取ることもできます。
- 従業員が1人のとき(生産量220個)→規模の経済が働かない
- 従業員が2人のとき(生産量400個)→規模の経済が働く
従業員が1人のときの生産量で、固定費用を倍にしても
その追加負担分を、220個の生産数量に対して、十分拡散することはできません。
一方、従業員が2人のときの生産量で、固定費用を倍にすると、
その追加負担分を、400個の生産数量に対して、十分拡散することが可能となります。
つまり、藤吉郎くんは、「1年後には、すぐ近くに大学のキャンパスが設置されて、
「さらに需要の増加が見込める」という長期の需要予測と仮説にもとづき、
規模の経済を働かせようとしているのです。
(つづく)
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