完全競争市場における最適生産量ルール
前回の限界分析の原理 「ちょうど」の考え方シリーズでは、企業行動において、
総収入から総費用を差し引いた、純利益を最大化させるための一般法則について述べました。
追加的に総収入を増加させたときにその増分と、
追加的に増加させた総費用の増分が、等しくなるまで行動すればよい、という考え方です。
ミクロ経済学の用語を使うと、次のようになります。言葉だけを使って説明しても、
分かりにくいので、概念図もあげておきましょう。
- 限界便益(限界収入)(MR) = 限界費用(MC)
マンツーマントレーニングの最適数量
行動を増やせば増やすほど、儲けが少なくなる限界便益(限界収入)(青点)が、
行動を増やせば増やすほど、手間が余計に増える限界費用(赤点)と等しくなるまで、
行動すれば、純利益は最大化するということを表しています。
鈴木みそ『限界集落(ギリギリ)温泉』 / h_okumura
価格受容型企業の最適生産量ルール
ところで、この最適生産量ルールは正確には、「価格受容型企業の最適生産量ルール」
とも呼ばれ、市場価格と、財の最後の1単位の生産にかかる限界費用と限界収入が、
等しくなるまで生産すれば良いということを表します。計算式で表すと、以下のようになります。
- 市場価格(P) = 限界収入(MR)
価格受容型企業の最適生産量ルール
この計算式を図に表すと、いくら生産しようが市場価格(P)は、
まったく同じの水平な直線で、表現されることになります。
価格受容型企業の特徴
つまり、企業が純利益を最大化させるためのルールは、、次の2点に集約されます。
- 限界便益(限界収入)(MR) が、 限界費用(MC)と等しくなるまで生産する
- 限界便益(限界収入)(MR)と限界費用(MC)は市場価格(P)と等しくする
消費者や需要者からみて差異の分からない製品、いわゆる標準的製品(コモディティ)を
扱っている企業は、完全競争市場における企業とも呼ばれ、この2点を守ることが、
純利益を最大化させるのための、必須条件となります。
以下は完全競争市場における、企業の特徴をクルーグマンミクロ経済学からの引用です。
"価格受容型の企業は常に市場価格を与えられたものとして行動する。それは生産物をたくさん販売して価格を下げたり、逆にごく少量を販売して価格を上げたりすることができないからだ。そのため価格受容型の企業にとって、追加的に1単位販売することの限界収入はいつも市場価格になっているのだ"
(P252「第9章完全競争と供給曲線」)
はじめは、とっつきにくい概念かもしれませんが、経済学における超重要概念の一つ
だと思いますので、丸暗記するのも一つの手かと思います(笑)
(つづく)
【関連エントリ】
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その5
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その3
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その2
限界分析の原理 「ちょうど」の考え方その1
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