大量生産・大量消費に必要な規模の経済
管理人が「物資不足」と聞いて、真っ先に思いつくのは、
太平洋戦争直後の日本の様子です。
もちろん、当時の様子を、直接体験しているわけではありません。
ですが、小説やテレビドラマなどでその様子を見ると、
自分の祖父や曾祖父の世代の大部分が、その日、一日を生き延びる
食糧にも事欠いていたことについては、想像に難くありません。
そんな貧しい人々に生存に必要な物資を、大量で安価に安定して供給しようと思えば、
生産について規模の経済を働かせなければなりません。
モノが圧倒的に不足している世の中では、モノを生産すればするほど、
長期の平均総費用曲線を低下させるようにする必要があります。
Life-Size Model / d'n'c
期間による固定費用の調整
前回のブログまでで、藤吉郎くんは、時間について「長い」・「短い」という
2つの期間を与られていました。その時間の選択肢にもとづいて、
「高い固定費用」と「低い可変費用」の額を決めていました。
もし、藤吉郎くんが期間について、「短い」しか与えられていなければ、
通常の需要予測(生産個数220個)にもとづいて、「低い固定費用」と「高い可変費用」を
選択していたでしょう(上司の信長くんより費用を最小化するように命じられていたから)
このように、期間を基準にすると、固定費用について、次の特徴が分かります。
- 短い期間→固定費用は調整できない
- 長い期間→固定費用は調整できる(可変費用と同じ)
ソフトクリーム製造機や冷蔵庫などの固定投入物は、牛乳やコーンなどの原材料とは異なり、
「短い期間」では購入できないかもしれません。また購入できたとしても
生産に寄与させるために使いこなすには、「長い期間」が必要となります。
期間による平均総費用曲線の違い
固定費用の額は、平均総費用曲線の形状に影響を与えます。
また期間の長短によっても、形状は異なります。期間の長短にもとづいて、
概念図を表すと次のようになります。
短期と長期の平均総費用曲線の関係
- 規模の経済→財の生産量が増加するにつれて長期的な平均総費用が低下する状態
- 規模の不経済→財の生産量が増加するにつれて長期的な平均総費用が上昇する状態
- 規模に関して収穫一定→生産量が変化しても長期平均総費用が一定のとき
長期の平均総費用曲線は、短期の平均総費用曲線よりも平らかです。
また、短期の平均総費用曲線は、常に長期の平均総費用曲線の上に位置しています。
このような曲線の形状の違いは、企業が長期では、固定費用の選択について、
融通がきくという性質を表しています。逆に短期では、決められた短期の平均総費用曲線でしか
操業できないという、性質も同時に表しています。
ソフトクリーム店の店長である藤吉郎くんは、
固定費用の選択について、裁量が与えられていたため、
その範囲内で目いっぱい融通を利かせたということになります。
(つづく)
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