経済学は思考実験です
前回の思考実験を、もう一度おさらいしてみましょう。グラフも用意しました。
(思考実験の材料)
- 労働は財である
- 賃金は価格である。
- 社会保険料は社会保険税とする
社会保険のくさびがかかった労働市場
労働市場における需給曲線は極端に異なる
実際の労働市場では、以下のような曲線関係になると考えられます。
需要曲線の傾きと供給曲線の傾きが、大きく異なります。
労働市場 弾力的需要と非弾力的供給
これを経済学の専門用語を使って、説明すると、
- 需要曲線は弾力的
- 供給曲線は非弾力的
という表現になります(これらの用語についての詳しい説明はこちら)。
「なんで需要曲線と供給曲線が、いきなりこんなに傾くねん?」
という声が聞こえてきそうなので、ご説明いたしまししょう。
これらのグラフは、一般的な労働市場を表します。
一般的な労働市場では、市場は次の通りに構成されます。
- 労働需要→雇用主(会社・団体など)
- 労働供給→従業員(労働者・被雇用者)
【曲線の特徴】
- 労働需要曲線→価格変動に反応しやすい。→雇用主は雇用量を調整しやすい。
- 労働供給曲線→価格変動しても反応が鈍い。→従業員は労働量を調整しにくい。
一般的な労働市場で労働の価格(賃金)が下がると?
賃金(価格)が下がった場合の、例を考えてみましょう。
- 労働需要側(雇用主)→賃金が下がったので、たくさんの人を雇い入れよう!
- 労働供給側(従業員)→賃金が下がっても簡単には、労働時間を少なくできない!
雇用主側は、企業や団体全体の利潤を考えなければなりません。
そのため、労働の価格が、安い時には、たくさん購入することを考えます。
また、従業員側は、転職など退職などにコストがかかるため、
簡単には労働移動をしません。このため労働の需要が減少すると、
賃金の下方修正を、受け入れざるをえなくなります。
このように、労働需要側と労働供給側の思惑が違うため、
両者の曲線の傾きは、極端に異なります。
そして、この思惑の違いが、社会保険料の負担感に、違いを生じさせます。
(つづく)
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